医療ニュース

2007年1月24日(水) 関西テレビが納豆ダイエットを捏造   谷口 恭

1月21日の毎日新聞によりますと、関西テレビは1月7日にフジテレビ系で全国放送したテレビ番組「発掘!あるある大辞典2」で、事実とは異なる内容が含まれていたことを発表しました。

 関西テレビによりますと、被験者がやせたことを示すのに別人の写真を使用し、アメリカの大学教授の発言の日本語訳の一部を捏造し、被験者の一部の中性脂肪値を測定せずに正常値になったと言い、血中イソフラボン濃度やホルモン値のデータを捏造したそうです。

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 このような事件は決して許されるべきではありません。私自身はその番組を見たことがありませんが、患者さんと話していると、テレビの影響を受けて(風変わりな)ダイエットをしていると話す人が少なくありません。

 納豆は植物性のたんぱく質が効率よく摂れますから、とかく動物性たんぱく質の摂取に偏りがちな現代日本の食卓に取り入れることはすすめられます。骨粗しょう症の予防になることもよく知られています。また、現在注目されているイソフラボンが豊富に含まれているのも事実です。

 しかし、摂りすぎには危険性もあります。納豆はビタミンKが他の食品に比べるとかなり豊富に含まれています。ビタミンKは血液が固まるときに必要ですから不足すると問題が起こります。しかしビタミンKを過剰に摂りすぎると、肝臓にも影響を与えるでしょうし、血液が逆に固まりやすくなってしまう可能性もあります。ビタミンKの過剰摂取は問題ないとする説もありますが、この手の学説はコロコロ変わりますから"過剰に"信じるのは考え物です。

 もともとダイエットを気にする人は、メタボリックシンドロームや生活習慣病に罹患している、もしくはその予備軍であることが多いわけで、そのような人の血液が固まりやすくなると、かえって脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上がってしまうことも予想されるわけです。

 別のところでも述べましたが、ダイエットの王道は「バランスのとれた食事」と「運動」で、これらをないがしろにすればどんなすぐれたダイエット法も成功しないと考えるべきなのです。