マンスリーレポート

2007年4月号 働いている人は早朝の勉強を!

すてらめいとクリニックをオープンさせてから私生活が随分と変わりました。やはり最も大きな変化は、深夜の勤務が大幅に減ったということでしょう。

 いわゆる当直勤務(以前から勤務している病院で)が現在では月に3~4回のみとなりましたから、医師のなかではかなり規則的な生活をしていることになります。(月に10回以上当直勤務をしている先生方がたくさんおられることを考えると申し訳ない気持ちになります・・・)

 すてらめいとクリニックの診療時間は夜8時までです。8時まで受付をおこなっていますから、診察が終わり、患者さんが帰られてその日の業務がすべて終了となるのは9時を回ることもあります。

 私がいろんなところで繰り返し述べているように、医師の仕事は診療だけではありません。患者さんと接していないときは、学会や研究会発表の準備や、論文の作成などもしなければなりません。また、月に10冊以上送られてくる学会誌や医学関連の雑誌を読み、それ以外にも勉強をしなければなりません。

 そのため、医師という職業をしている以上は、診療以外の仕事(勉強)の時間を最低でも1日に2~3時間程度は捻出する必要があります。

 すてらめいとクリニックを開業するまでは、深夜勤務で救急の患者さんが来られないときなどに細切れの時間を見つけて勉強するようにしていましたが、先月からは夜は11時か12時には眠り、朝5時に起きて勉強するようにしています。

 実は、この方法は私が会社員時代におこなっていた方法です。

 私は会社員時代に勉強時間の捻出にあれこれ試行錯誤を繰り返し、1年目の終わりごろから朝5時からの勉強を日課にするようにしました。

 『偏差値40からの医学部再受験』にも書きましたが、私は英語がまったくと言っていいほどできなかったのにもかかわらず、就職した会社ではなぜか「海外事業部」に配属されてしまいました。

 このため、好きとか嫌いとかそういう問題ではなくて、ともかく英語をがむしゃらに勉強するしかなかったのです。とはいえ、会社員、特に1年目の会社員というのは夜遅くまでの残業が当たり前ですし、多くの付き合いもあります。若い社員は上司からの誘いを断るわけにはいきません。そのため週に1~2度はお酒を飲むことにもなります。

 残業を終えて深夜に帰宅したとき、あるいはお酒が入った状態で帰ってきたときに机に向かう気にはなれません。最初の頃は、それでも帰宅後に勉強していたのですが、能率が上がらずにいつのまにか寝ていることもしばしばでした。

 そんななか、あるとき朝5時に起床して勉強するという方法を思いつきました。これなら、疲れが蓄積していたり、お酒が残っていたりすることもありません。効果はてきめんで想像以上の能率の良さを実感することができました。

 朝5時に起きているわけですから、夜になると眠たくなってきます。それが分かっているために、日中の仕事は意識的に効率よくテキパキとおこなうようになります。また、眠たくなるときにお酒が入れば早く家に帰りたくなりますから、深酒をしたり、自らが率先して2次会、3次会を企てたりすることもなくなります。

 私が勤めていた会社では朝7時半とか8時から勉強会や週例会がありましたが、それでも勉強時間として朝5時から7時までの2時間が確保できます。この2時間は私にとって大変有意義な時間となりました。この日々の2時間がなければ、私の英語はいつまでたっても幼稚なままで、さらに医学部合格もなかったかもしれません。

 会社を退職してからは、医学部の受験勉強を始めましたが、このときも私は朝5時からの勉強を義務付けていました。そして、このときには会社員時代に英語を勉強していた頃には気付かなかった"利益"があることが分かりました。

 それは、「朝になると難問が解けている!」ということです。

 私は元々理数系の科目が苦手なので、数学や化学の計算問題は解答をみてもよく分からないものが少なくありませんでした。身近に質問できる人がいればよかったのですが、予備校も行かずにひとりで勉強していた私には気軽に質問できる人が皆無でした。しかし、医学部受験をする以上は、解答を見ても分からない問題があれば絶望的です。

 ある夜、数時間考えても分からない数学の問題を諦めて眠ることにしました。そして、明け方に夢を見ました。夢のなかでも私はその難問を解いていました。すると、数時間考えて分からなかった難問が夢のなかで解答が導けたのです!!

 目覚まし時計で目を覚ました私は、実際にノートを使ってその問題を解いてみました。すると、本当に解けたのです!!

 この経験をして以来、私は難問を見つけるとその日の最後に回すようにしました。そして眠りにつく前にその問題を考えるのです。もちろん、いつもそう上手くいくとは限りませんが、それでも解答に書いてあることが部分的にでも理解できることも度々ありました。英語の場合は、明け方に自分が英語でしゃべっている夢を見たこともあります。

 現在の私の勉強は、受験勉強ではないために、難問に頭を悩ませるといったことはありませんが、記憶すべきことを頭で反芻してから眠ることがしばしばあります。こうすればかなりの確率で記憶が確かなものとなっています。

 早朝勉強法は、日中の仕事もはかどり、飲酒量も減り、おまけに眠る前の思考と組み合わせれば難問の理解や記憶の向上にも役立ちます。

 あなたもさっそく試してみませんか・・・