マンスリーレポート

2010年1月号 「仲間」と過ごす時間

2009年の年末から2010年の年始にかけて、私は国内のある地方都市でゆっくりと過ごしました。

 新型インフルエンザの勢いは少しましになったとはいえ、多くの医師が年末年始もどこかの医療機関で寝食をできないほど忙しくしているなかで、私だけが(「だけ」というわけでもないでしょうが)、仕事もせずにのんびり過ごすことには抵抗がなかったわけではありませんが、日頃は自分自身の時間がほとんどとれませんから、たまにはいいだろう、と自分のなかで言い訳をした上で今回の休暇を決めました。

 思えば、医師になってから3年前までは、年末年始はどこかの病院で働いており(そのため3年前には楽しみにしていた高校の同窓会にも参加できませんでした)、昨年と一昨年はNPO法人GINA(ジーナ)の関連でタイに出張に行っていましたから、まったく仕事をせずにのんびりできたのは随分と久しぶりでした。

 去年(2009年1月)のマンスリーレポートにも書きましたが、私は年末年始に自分自身のミッション・ステイトメントを見直し、新しい一年間の目標を立てるということを10年以上前から続けています。

 今回ミッション・ステイトメントを改訂するにあたり、私が昨年までと比べて最も重要視したことは、「仲間との時間を大切にする」というものです。

 思い起こせば、いつの頃からか私は<付き合いの悪いヤツ>になっていたと思います。いえ、もう少し正確に言うと、「思い起こせば」、というよりは、「これまでもうすうす気づいていたが気づかないようにしていた」という方が正しいでしょう。

 いつから私は<付き合いの悪いヤツ>になってしまったのでしょうか。

 高校を卒業して、私は関西学院大学の学生となり4年後に卒業しました。その後は一般企業に就職して4年間過ごしました。この間は、決して付き合いの悪いヤツではなかったと思います。友達や先輩から誘われればよほどのことがない限り断りませんでしたし、むしろパーティや飲み会などは私自身が主催することが多かったと言えます。夜中に電話がかかってきても当たり前のようにでかけていました。会社に入ってからも、他部署の人や他の会社の人ともよく食事や飲み会にでかけていました。12月にはほぼ毎日が忘年会のような年もありました。

 それが、会社を退職し医学部受験の勉強を本格的に開始しだした頃から大きく変わりました。夜中に電話がかかってきても・・・、どころか、この頃の私はまず電話に出ませんでした。受験勉強が終わり、医学部に入学してからも、私は生活の中心を「勉強」に置いていましたから友達からの誘いは断ることの方が多くなっていました。医学部の6回生の頃には医師国家試験の勉強が始まり、さすがに電話に出ないというところまではいきませんでしたが、かなり付き合いは悪かったと思います。

 医師になってからは、休日がほとんどありませんでしたし、時間ができたとしても病棟に受け持ちの患者さんをみにいったり、救急外来に自主的に行ったりしていましたから、プライベートの時間はほぼありませんでした。最初の2~3年の間は、まだ医師としては駆け出しなんだからプライベートの時間など持つべきでない、とまで考えていました。

 クリニックを開業してからも、診察時間以外は事務仕事をしているか、他の医療機関に働きに行っているか、あるいはGINAの関連の仕事に追われることもあり、やはりプライベートな時間はほとんど持てませんでした。

 2009年を振り返ると、2007年、2008年に比べると、診療に費やす時間が少し減ったように感じています。2007年の後半から2009年の頭くらいまでは、毎日のように診察が終わるのが夜の10時を回り、それからカルテの記載や画像や採血データ、症例写真の整理などをおこなうと日付が変わっているのが普通でした。ところが、2009年の1月後半あたりから、患者数が減りだし、早ければ午後8時過ぎに、遅くても午後9時を少し回る程度で診察が終了できるようになったのです。

 これは、2008年秋に始まった世界的な不況と無関係ではないでしょう。「仕事がなくなり保険証がなかったので受診できなかったんです」と答える患者さんが少なくありませんし、いつの間にか来られなくなった患者さんのなかには、いまだに保険証がない人もおられるに違いありません。これまで通り来られている患者さんからも、「薬も検査もできるだけ減らしてください」と言われることがときどきありますが、このようなことを以前は経験したことがありませんでした。

 不況、そして医療費の支払に不安を感じている患者さんがいることは大いに問題で、早急に改善されなければならないことですが、その結果として、医療機関を受診する人が減り我々医療従事者は少し時間が取れるようになってきました。

 そんななか、昨年(2009年)の中ごろあたりから、偶然にも昔の友達からの連絡が頻繁に入るようになってきて会う機会が増えだしました。例えば、昔からの友人(というか後輩)に桂三若(かつらさんじゃく)という落語家がいるのですが、私はこれまで彼の舞台をほとんど見にいったことがありませんでした。たいがいは仕事と重なるからです。
 
 11月のある日、桂三若からメールで舞台の案内を聞いていた私は劇場まで足を運び、独演会を観賞しました。15年ほど前に舞台を見たときと比べてものすごく上手くなっていることに私は感動しました。彼とは再びメールのやりとりをしています。近いうちにはプライベートで飲みにいこうと考えています。

 また、12月には高校のミニ同窓会が開催されました。卒業20年後の大きな同窓会には参加できませんでしたし、小さな集まりにもこれまでは仕事を理由に不参加ばかりだったのですが、今回は参加することができました。高校卒業以来、22年ぶりに再会した同級生もいて、大変有意義な時間を過ごすことができました。

 また、他にも昔の友達からメールが届くことがあり、いつの間にか私のメールソフトの受信箱にはプライベートなメールが増えだしてきました。そして、初めて気づいたのですが、私のメールソフトには、プライベートなメールを保存するフォルダーがありませんでした。私は、頻繁にやりとりする人からのメールはカテゴリー別のフォルダーに入れて整理しています。例えば、よく使うフォルダーには「医師(からのメール)」「GINA関連」「プライマリケア関連」「患者さん(からのメール)」「トラベル」「ショッピング」、などがあります。どこにも当てはまらないメールはそのまま「受信箱」に入れたままにしています。

 昨年秋ごろから増えてきたプライベートな知人からのメールは、これまで「受信箱」に入れたままにしていたところを、新たに「プライベート」というフォルダーを作ってここに入れるようにしています。

 さて、私は今年、「仲間との時間を大切にする」というテーマ(ミッション)を大切にするつもりです。「プライベート」と命名されたフォルダーの中身が増えるだけでなく、実際に顔を見合わせて積もり積もった話をしたいと考えています。

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2019/09/18

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