はやりの病気

第59回 カビの病気2(カンジダ) 2008/7/18

前回は、「カビの病気」として私自身が悩まされている癜風(でんぷう)と水虫をご紹介しました。

 今回は、カンジダについてお話いたします。カンジダも水虫と同様いろんなところにできますが(足、手、口角、体幹、男性のペニスなど)、日常診療でもっとも多く見るのが女性の外陰部、もしくは腟内のカンジダです。

 まず初めに、私が最も強調したいことをお話します。

 それは、「カンジダは性感染症とは限らない」ということです。世間では「カンジダは性感染症のひとつで、危険な性交渉をするからだ」と考えている人がいますが、これは誤りです。

 すてらめいとクリニックにはたくさんの女性のカンジダの患者さんが来られますが、その大半は性的接触が原因ではありません。(実際、処女のカンジダの患者さんもおられます)

 では、何が原因でカンジダが発症するかというと、前回でも述べたように「ストレス」と「抗生物質の服用」であることが圧倒的に多いのです。

 「ストレス」は計測しにくいものですが、患者さんのなかにはたいへん"わかりやすい"人がいます。例えば、「残業をする度におりものが増える」、「出張する度に外陰部が痒くなる」、あるいは「彼氏とけんかする度に・・・」という人もいます。これらは性交渉などが原因ではなく、明らかに「ストレス」が原因のカンジダです。要するに、ストレスを感じることによって身体の抵抗力(免疫力)が低下して、その結果カンジダが発症しているのです。

 前回、私は自分自身の癜風再発の原因として抗生物質があることを述べましたが、カンジダの場合も同様です。繰り返す人も少なくなく、「抗生物質を飲む度に・・・」という人も珍しくありません。なかには、「抗生物質を処方してもらうときは必ずカンジダの腟錠も同時に処方してもらう」という人もいます。

 先に、「カンジダは性感染症とは限らない」と述べましたが、例えば、クラミジアや淋病に感染して、抗生物質を服用したときに、「クラミジアや淋病は治ったけど、その後おりものが増えてその原因がカンジダだった」、ということは少なくありません。ですから、すてらめいとクリニックでは、クラミジアや淋病(これらはほとんど性感染症です)を治療する場合は、場合によっては予防的にカンジダの腟錠や塗り薬を処方することもあります。

 カンジダは性感染症とは限りませんが、なかには性感染であろうと思われるケースもあります。そして、これは男性に多いという特徴があります。男性のカンジダ性亀頭炎は、女性の外陰部や腟のカンジダに比べると頻度が少ないと言えます。これは、女性の外陰部や腟が湿っておりカビ(カンジダ)が繁殖しやすい環境なのに対して、男性のペニスは通常は乾いており、カビがあまり好まない環境だからです。

 しかしながら、女性との(コンドームなしの)腟交渉があれば、ペニスは多数のカンジダ菌にさらされることになります。これによって性感染するのです。ですから、私は、女性のカンジダを見たときは性感染を初めに考えませんが、その一方で、男性のカンジダを見つけた場合は、必ず性交渉の有無を尋ねるようにしています。

 ただし、男性のカンジダ性亀頭炎はある程度予防することができますし、それほど重症化はしません。予防には、「性交渉の後にすぐにペニスを洗う」ということを心がけていればかなりの確率でカンジダ性亀頭炎の発症を防げます。これは、たとえペニスが多量のカンジダ菌にさらされたとしても、実際にカンジダが皮膚に定着するのに数時間はかかるからです。

 そして、これはカンジダだけに限ったことではありません。日本人に水虫が多いのは、銭湯やサウナに置いてあるマットが原因だと言われています。銭湯やサウナに入った後は足を拭かざるを得ませんから、マットを使うことになります。この時点では水虫菌(白癬菌)が足に付着している可能性が高いと言えます。

 しかしながら、家に帰ってから足をもう一度洗えば(水洗いで充分ですが、抗真菌薬入りのボディソープなどを使えばより効果的でしょう)、水虫菌の感染が"成立"する可能性は下がるというわけです。

 話を戻すと、女性と(コンドームなしの)性交渉をした男性は、できるだけ早い時間にペニスを洗うのが予防としては効果的です。この場合、過去にカンジダ性亀頭炎を起こしたことのある人は、抗真菌薬入りのボディソープを用いるのがいいでしょう。

 過去にカンジダ性亀頭炎を起こしたことがなくても、(仮性)包茎の人は要注意です。包皮につつまれた部分はじめっとしたカビ(カンジダ)が大好きな環境になるからです。

 「(好きな)女性と性交渉を終えてすぐに身体を洗いにいくのはなんだか冷めた感じがする」、あるいは「そんなことをするのは女性に失礼では・・・」と感じる人もいるかもしれません。そのあたりについては、医学的に介入するべきではありませんから、各自で考えればいいと思います。

 さて、繰り返しになりますが、「女性のカンジダは性感染とは限らない」というのは男性にも是非とも知っていてもらいたいものです。というのは、特定の女性からカンジダをうつされた場合、男性はその女性を「浮気しているのではないか」と疑う可能性があるからです。

 例えば自分の彼女や奥さんからカンジダをうつされてしまった場合は、相手を疑うのではなく、「最近おりものが多くない?」とか「痒くない?」とかいった質問を優しくしてあげるようにしましょう。カンジダは放っておいて大事にいたるといったようなことは普通はありませんが、それでも重症化すれば、痒みやおりものの量でつらい思いをすることがありますし、場合によっては飲み薬まで必要になることもあります。

 カンジダの診断はいたって簡単です。男性のカンジダ性亀頭炎であっても、女性の外陰部(あるいは腟)カンジダ症であっても、顕微鏡の検査でその場で診断がつきます。(すてらめいとクリニックを受診された患者さんには、モニタでその人が持っていたカンジダ菌をお見せすることもよくあります)

 ただし、見ただけでは判らないことも多々ありますから必ず検査は必要です。実際、カンジダと湿疹やかぶれは見ただけでは鑑別のつかないことの方が多いのです。本当は湿疹なのにカンジダの治療をしていれば治るものも治りません。また、おりものの異常があってもそれが実際にはトリコモナスやクラミジアが原因であったということもよくあります。

 おりものの異常、外陰部の痒み、ペニスの発赤や痒み、などがあればなるべく早いうちに医療機関を受診するようにしましょう。

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