医療ニュース

2010年2月8日(月) イソフラボンで肺ガンのリスクが低下

 タバコを吸わない男性では、豆腐や納豆などに含まれるイソフラボンの摂取量が多い人が肺ガンになるリスクは、摂取量の少ない人の半分以下・・・。

 このような研究結果が厚生労働省の研究班により発表されました。(報道は2月5日の共同通信など)

 研究班は、岩手、秋田など合計8県に住む45~74歳の男女約76,000人を平均11年間追跡調査しています。追跡期間中、男性481人、女性178人が肺ガンに罹患しました。食事内容の調査から、イソフラボンの摂取量を算出し、男女をそれぞれ4つのグループに分け、肺ガンの発症率を比較しています。

 その結果、男性の非喫煙者では、イソフラボンの摂取量が最も多いグループ(豆腐換算で1日約203グラム、豆腐1丁は300~400グラム)の肺ガン発症率は、最も少ないグループ(同約37グラム)の43%であることが分かりました。

 男性全体では、イソフラボン摂取量と肺ガン発症率の関連性は認められませんでしたが、これは喫煙の影響がかなり大きいからではないかと考えられます。また、女性では、やはりイソフラボンの摂取量が多いほど肺ガンになりにくいという傾向が確認されましたが、統計学的に有意という程の差ではなかったとのことです。

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 豆腐や納豆といった大豆食品で肺ガンのリスクが軽減するというのは嬉しい報告ですが、これはタバコを吸わないことが前提です。実際、研究者のひとりは「肺ガンの最大の原因はやはりタバコである」と述べています。

 イソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)様の効果があるとされているフラボノイドで、乳癌や子宮体癌などのリスク低減(ただし、逆に増加するのではないかという説もあります)、更年期障害や糖尿病、骨粗鬆症などにも効果があると言われることがあります。

 今回の肺ガンのリスク低減に効果があるとする研究は注目に値するでしょう。しかしながら、これは食品に含まれるイソフラボンであって、サプリメントに同様の効果があるかどうかは不明です。

(谷口恭)