医療ニュース

2008年2月4日(月) 低用量ピルは卵巣癌を予防する

 低用量ピル(経口避妊薬)には、卵巣癌の予防効果があり、30年以上にわたりリスクが低減される・・・

 医学誌「Lancet」の1月25日号で、このような報告がおこなわれ話題を呼んでいます。

 研究者は、21ヶ国の女性10万例以上の個人データを解析し、「ピルを10年間使用すると、卵巣癌の発生率が使用者100例あたり1.2から0.8に減少し、卵巣癌による死亡率は使用者100例あたり0.7から0.5に減少する」、との結論を導いています。

 さらに、「ピルが利用されてきた過去50年間において、全世界で約20万例の卵巣癌および約10万例の死亡が未然に防がれてきた」、との推論もおこなっています。

   「Lancet」は、「このような命にかかわる悪性腫瘍を強力かつ長期的に予防する薬物はほとんどない」、と論説を加えています。

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 ピルは、子宮内膜癌と大腸癌(結腸直腸癌)の予防効果があることもこれまでの研究で明らかになっています。しかし、一方では、子宮頚癌と乳癌のリスクが増加するとの報告もあります。
 
 今回の研究は、ピルの安全性だけでなく、癌予防としての有用性も強く訴えるものであり、将来的にピルをOTC(医師の処方せんなしで薬局で買える薬)にしようとする動きに拍車をかけることになるかもしれません。

 実際、若い女性の3人に1人がピルを飲んでいると言われているイギリスでは、以前からピルのOTC化が望まれています。

(谷口恭)