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2016年2月5日 受動喫煙も不妊や早期閉経の原因

 自らの喫煙が不妊や早期閉経の原因になることは以前から指摘されていましたが、他人のタバコ、いわゆる「受動喫煙」がこれらのリスクになるのかどうかの大規模研究は(私の知る限り)ありませんでした。しかし、ついに疫学的な研究が発表されました。

・タバコを吸わない女性に比べると、現在の喫煙者または元喫煙者は不妊のリスクが14%上昇し、早期閉経のリスクは26%も上がる。

・タバコを吸わない女性のうち受動喫煙がある人(同居人が喫煙者など)は、不妊のリスク、早期閉経のリスクが共に18%上昇する。

 これらは医学誌『Tobacco Control』2015年12月14日(オンライン版)に掲載された論文(注1)で紹介されています。

 この研究の対象は50~79歳の閉経後の女性93,676人。1993年から1998年にWHI(the Women's Health Initiative Observational Study)という研究に参加したアメリカ人女性です。

 早期閉経はリスクのパーセント表示だけでなく、期間でも示されています。喫煙経験者は、喫煙も受動喫煙もない人に比べると、閉経が22ヶ月早くなり、受動喫煙があった人はない人にくらべて13ヶ月閉経が早かったそうです。

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 この研究は「後ろ向き研究」と呼ばれるもので、すでに閉経した人から聞き取り調査をしたものです。研究の信憑性がより高いのは、まだ閉経が来ていない人を対象とし、喫煙者、受動喫煙者、非喫煙で受動喫煙もない者の3つのグループにわけて追跡する調査で、これを「前向き研究」と呼びます。

 ただし、そんなに厳密な研究をしなくても、この研究が示していることは明らかです。喫煙する人はタバコの影響をよく考えるべきでしょう。


注:この論文のタイトルは「Associations between lifetime tobacco exposure with infertility and age at natural menopause: the Women's Health Initiative Observational Study」で、下記URLで概要を読むことができます。

http://tobaccocontrol.bmj.com/content/early/2015/11/19/tobaccocontrol-2015-052510.abstract?sid=5e425fd7-02c6-4406-aa82-171c7fe3af84