高山病

◆高山病予防薬の使い方

高山病の症状は3つに分類することができます。
①山酔い acute mountain sickness (AMS)
②高地脳浮腫 high-altitude cerebral edema (HACE)
③高地肺水腫 高地肺水腫high-altitude pulmonary edema (HAPE)

3つです。

このうち比較的低い高度でも起こりうるのが①山酔いです。山酔いにはダイアモックス(アセタゾラミド)が有効です。2,500メートル以上の高地に渡航する人は検討すべきでしょう。特に3千メートルを越える高地に行くときには体力に自信のある人も用意すべきです。(高山病は鍛えて克服できるものではありません)

キリマンジャロのように5千メートルを越える山に行くときは山酔いだけでなく、②高地脳浮腫や③高地肺水腫の対策を立てなければなりません。これらの対策を検討されている方は診察前にメールで相談してください。

高山病の予防薬の使い方にはいくつかの考えがありますが、当院では基本的にはCDC(米国疾病管理局)のガイドライン(注1)に従っています。基本的な使い方は以下のようになります。


★ダイアモックス(アセタゾラミド)(比較的低地の場合)

注意:サルファ剤にアレルギーのある人は使えません。

〇山酔いの予防をするとき

高地に到着する前日の朝から1回125mg(0.5錠)を1日2回内服します。同じところに滞在する場合は、その後3~4日間内服すれば身体が高度に慣れますから、山酔いを示唆する症状が出ていなければそれ以上継続しなくてもかまいません。

同じところに滞在せずに、いったん低地に行き再び高地を訪れるようなプランを組んでいる場合は旅行中は継続して内服する必要があります。

価格は1錠(250mg)100円です。薬代以外に処方代(620円)が必要になります。


〇山酔いの症状がでたとき

症状が出ればその時点でそれ以上登ってはいけません。その場で休憩をとり、250mgを内服します。(半錠にしている場合は、1回につき半錠を2つ) その後夜に再度250mgを内服します。翌日の朝も250mgを内服します。

症状が出た日:合計2.5錠
     朝0.5錠(この時点では無症状) 
     症状が出た時点 1錠(0.5錠x2個) 
     その日の夜 1錠(0.5錠x2個) 
                 
翌日:合計1.5錠
     朝1錠(無症状でも1錠飲みます)
     夜0.5錠(1錠でも可)

     
〇対症療法の薬

実際に山酔いが起こると頭痛薬吐き気止めが必要になります。OTC(市販の薬剤)でも間に合うこともありますが、気になる方は診察時にご相談ください。頭痛薬については、アジア・アフリカ・中南米方面に渡航される場合はアセトアミノフェンを第一選択とする必要があります。これは、もしも頭痛の原因がデング熱などの感染症であった場合に他の鎮痛薬を用いることができないからです。アセトアミノフェンは、海外では「パラセタモール」とも呼ばれます。製品名では「タイレノール」というものもあります。

また、高山病とは関係がありませんが、「高山病は防げたけれど下痢で苦労した」という患者さんの声は少なくありません。整腸剤など下痢対策も必須と考えるべきでしょう。



★高地脳浮腫、高地肺水腫予防薬(上級者向け)

CDCのガイドラインではステロイド内服、ホスホジエステラーゼ阻害薬(ED改善薬としても使われるものです)、降圧剤などを用いることになっています。いずれも副作用に充分に注意しなければならず誰にでも処方できるわけではありません。希望される方は事前にメールでご相談ください。

例:キリマンジャロ登頂の場合

サミット・デイの前々日の夜、前日の朝・夜、サミット・デイの朝の合計4回下記2種を内服します。

シアリス(タダラフィル) 10mg 1錠1,650円 → 4錠で6,600円
デカドロン(デキサメタゾン) 4mg 1錠100円 → 4錠で400円

注1:このガイドラインは下記URLで読むことができます。
http://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2014/chapter-2-the-pre-travel-consultation/altitude-illness