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片頭痛を治そう

おそらく生涯にわたり頭痛を経験しない人はいないでしょう。頭痛の原因は様々ですが、ここでは日常診療でもっとも頻繁に遭遇する片頭痛についてお話したいと思います。片頭痛はその痛みがたいへん強いことから、日常生活にも支障をきたすことがあり、そのために仕事をやめざるを得ない人もいます。しかし、トリプタン製剤をはじめとするすぐれた薬剤が登場したことにより、多くの人が激痛から救われて日常生活が営めるようになってきています。

Q1 片頭痛とはどんな症状なのですか?
Q2 片頭痛の原因は何なのですか?
Q3 片頭痛に劇的に効くトリプタン製剤って何なのですか?
Q4 トリプタン製剤は副作用はないのですか?
Q5 片頭痛には必ずトリプタン製剤を使わなければならないのですか?
Q6 片頭痛がおこったとき、薬以外に治療する方法はないのですか?
Q7 片頭痛を予防する薬はないのですか?
Q8 薬以外に片頭痛を予防する方法はないのですか?
Q9 生理周期に一致して片頭痛が起こるのですが・・・

 参考:はやりの病気第96回(2011年8月)「放っておいてはいけない頭痛」




Q1 片頭痛とはどんな症状なのですか?

A1
 頭の片側(時に両側)が、ズキンズキンと脈打つような強い痛みに襲われます(この痛みを「拍動性頭痛」と呼びます)。このような痛みが月に1〜2回、多い人では週に1〜2回発作的に起こり、数時間から3日間ほど続きます。

頭痛に伴って、吐き気がしたり、実際に吐いたり、また、光や音に過敏になったりすることもあります。体を動かすと痛みが悪化するため、片頭痛発作が始まると、部屋を暗くして洗面器をかかえて寝込んでしまうという人もいます。

休息や睡眠をとることにより痛みは和らぎます。また、発作が治まると次の発作が起こるまで、まったく症状がみられなくなるのも片頭痛の特徴です。

頭痛が起こる「前兆」として、約10〜20分間、視界がチカチカしたり、ギザギザした模様が広がったりして、ものが見えにくいといった症状(これを「閃輝暗点」と言います)が出る場合もあります。

次の症状のうち、ひとつでもあてはまるものがあれば片頭痛かもしれません。

・脈打つようにズキンズキン痛む。
・頭痛とともに吐き気がしたり、実際に吐くこともある。
・頭痛があるときは、静かな暗いところでじっとしていたい。
・頭痛が始まる前に視野にチカチカした光が現れる。
・仕事や家事などに支障があり、ひどいときは寝込んでしまう。
・体を動かすと頭痛がひどくなる。
・その頭痛を過去何度か経験している。
・頭痛は数時間から3日間持続する。
・家族に同じような頭痛もちがいる。



Q2 片頭痛の原因は何なのですか?

A2 
現在2つの説があります。

ひとつは「血管拡張説」と呼ばれるものです。これは、頭蓋骨内外の血管が異常に拡張することによって頭痛が起こるとする説です。血管拡張がおこるのは、セロトニンやMAOといった神経伝達物質の影響ではないかと言われています。頭のよくなるサプリメント(イチョウなど)を飲むと頭痛が起こるという人がいますが、これも血管拡張による頭痛ではないかと私は考えています。

もうひとつの説は、「三叉神経血管説」と呼ばれるものです。これは、何らかの理由で三叉神経(脳神経のひとつ)が周囲の血管に働きかけ、その結果、血管周囲に炎症が起こり、それが三叉神経に痛みを感じさせているのではないかとする考えです。



Q3 片頭痛に劇的に効くトリプタン製剤って何なのですか?

A3
 トリプタン製剤は、セロトニン-1(5-HT1)受容体作動薬といわれ、過度に拡張した脳血管を収縮させ、また神経性の炎症を抑えることによって頭痛発作を抑えると考えられています。欧米では90年代初頭より普及しており、日本でも2000年頃から使用されるようになりました。飲み薬の他、点鼻薬や注射もあります。

これまではどんな痛み止めを飲んでも効果がなかったのに、トリプタン製剤を使用するようになってから激痛から開放されたという人は少なくありません。値段はかなり高いのですが(保険を使っても1錠300円以上もします)、トリプタン製剤は手放せないという人はたくさんおられます。ただし、予防効果はないために、頭痛が始まってから飲まなければなりません。このためトリプタン製剤を使っている患者さんは、ケースに薬を入れて携帯しています。

トリプタン製剤には、イミグラン、ゾーミッグ、レルパックス、マクサルト、アマージ(いずれも商品名)の5種類があります。(これらは現在、当院では「院外処方」とさせていただいています)



Q4 トリプタン製剤は副作用はないのですか?

A4
 副作用はあります。動悸、悪心(むかつき)、めまい、倦怠感(ダルイ、しんどい)などです。これらはそれほど高頻度に出現するわけではありませんし、出現しても軽度のものが多いと言えます。ただし、副作用がイヤで飲めないという人もいないわけではありません。トリプタン製剤にも様々なものがありますので、別のタイプのものに切り替えて副作用がなくなったという人もいます。

また、トリプタン製剤は、誰にでも使えるわけではありません。血管を収縮させる作用が強力であると考えられているために、例えば、脳梗塞や狭心症のある患者さんには使えません。



Q5 片頭痛には必ずトリプタン製剤を使わなければならないのですか?

A5
 そんなことはありません。当クリニックでは頭痛の程度に応じて様々な鎮痛剤を使い分けています。トリプタン製剤も、内服薬が合う人もいれば、点鼻薬が好みという人もいます。



Q6 片頭痛がおこったとき、薬以外に治療する方法はないのですか?

A6
 個人差はありますが次の点に気をつければ症状が緩和することがあります。

@休養

静かな部屋で横になり安静にするのが最適です。可能であれば、ひと眠りしてしまうのがいいでしょう。ただし、眠りすぎはかえって逆効果になるという人もいますので、昼寝の時間はとりすぎないように注意しましょう。

A頭を冷やす(温める)

頭痛に限らず、痛みの対処法は、冷やす方がいいのか、温める方がいいのかは人によって異なります。まずはそれぞれを試してみるのがいいでしょう。冷やすときは氷枕やアイスノンを、温めるときは熱いタオルやカイロを使用するのがいいでしょう。

Bツボ療法

民間療法ですが効果のある人もいます。こめかみの後ろの方にあるツボを刺激します。



Q7 片頭痛を予防する薬はないのですか?

A7
 2種類の薬があります。1つは、塩酸ロメリジン(商品名は「ミグシス」「テラナス」)というカルシウム拮抗薬と呼ばれる薬です。カルシウム拮抗薬といえば、血圧を下げる薬として有名ですが、塩酸ロメリジンは脳血管に対してのみ作用しますので、副作用で血圧が下がるということもあまりありません。(ただし降圧薬を飲まれている人は注意が必要です) トリプタン製剤で効果が不十分という場合に適用があります。

もうひとつは、バルプロ酸ナトリウム(商品名は「デパケン」など)という薬剤で、これは従来てんかんの治療薬として広く使用されているものです。バルプロ酸ナトリウムはてんかんのみならず、片頭痛の予防薬としても有効であることは以前からよく知られており、海外では広く使れていますし、日本でも一部の施設では自費診療でこれまでも処方されていました。日本頭痛学会からの要望が聞き入れられるようなかたちで2010年10月29日より保険適用となり、一般の医療機関でも処方できるようになりました。塩酸ロメリジンに比べると、薬の飲み合わせに注意がより必要で、また副作用にも充分注意しなければなりませんが、今後片頭痛の予防薬として使われる機会が増えてくるでしょう。

(上記2種の薬とも、当院では現在「院外処方」とさせていただいています)



Q8 薬以外に片頭痛を予防する方法はないのですか?

A8 個人差はありますが予防方法はあります。

@生活習慣の改善

人によってはむつかしいかもしれませんが、一般的には次のことを避ければ片頭痛の予防となると思われます。

睡眠不足、過労、ストレス、長時間にわたる一定の姿勢、過剰なアルコール摂取、熱いシャワー、急に寒いところに行く、きつい香水、騒音、蛍光灯などのまぶしい光、

A寝過ぎに注意!

A6で述べたように片頭痛が起こったときには適度な仮眠をとるのが有効です。しかしながら、睡眠をとりすぎるのは禁物です。よくあるのが、休日の朝、寝坊をして片頭痛が起こったというものです。また、普段の過酷なストレスから一気に解放されたときにも片頭痛が起こることがありますから、普段からほどよい生活のリズムを保つことが大切です。

B食べ物や薬にも注意!

片頭痛は女性の患者さんの方が多いのですが、皮肉なことに、一般的に女性が好むとされている食べ物によって片頭痛が起こることがあります。具体的には、ワイン、アイスクリーム、チョコレートなどです。

また、女性ホルモンが片頭痛をきたすこともありますので、低用量ピルやホルモン剤の内服をする際には注意が必要です。(当クリニックではピルなどを処方するときに確認するようにしています)



Q9 生理周期に一致して片頭痛が起こるのですが・・・

A9
 生理周期と片頭痛の関係は最近注目されています。この頭痛は月経関連片頭痛(MRM)と呼ばれ難治性と考えられています。しかし、単に生理痛のひとつとして頭痛が起こると考えている患者さんも少なくなく、医療機関を受診していない女性が大勢いることが指摘されています。トリプタン製剤のなかでは、アマージがこの月経関連片頭痛に有効と考えられています。アマージは他のトリプタン製剤に比べて、副作用が少なく、薬の作用時間が長いために1回の内服でその日1日の効果が期待できるからです。




2011年6月22日
太融寺町谷口医院
院長 谷口恭

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