B型肝炎ウイルスのワクチンを打ちましょう

  • B型肝炎はHIVやC型肝炎ウイルスなどに比べると極めて強い感染力を持っており性交渉による感染が増えています。
  • B型肝炎に急性肝炎、劇症肝炎、肝硬変、肝ガンなどの原因となります。


肝炎ワクチンの接種をしよう!


 ウイルス性肝炎には、A型、B型、C型、D型、E型などがあります。いずれも、感染後、放置しておくと致死率の高い疾病ですから、できる限り感染することを防ぎたいものです。
 
 これらのうち、A型とB型にはすぐれたワクチンがありますのであらかじめ予防接種しておくことが推奨されています。

★肝炎ワクチンの価格

B型肝炎ワクチン 1回5,250円(2−3回の接種が必要です)
A型肝炎ワクチン 1回9,970円(2−3回の接種が必要です)
*他に抗体ができていることを調べる血液検査が必要となります。

★B型肝炎ウイルスとは

 B型肝炎ウイルスは、容易に性感染し、急性肝炎をきたすことがあり、さらに劇症肝炎になることもあります。いったん、劇症肝炎となればかなりの確率で死に至る感染症です。潜伏期間(感染してから症状が出現するまでの期間)は、1〜6ヶ月です。

 症状は、黄疸(体が黄色くなる)が有名ですが、黄疸が出る前から倦怠感(しんどい)、食欲不振、消化器症状、発熱(軽度のことが多い)などの症状がでてきます。こうなれば入院が必要となります。

 しかし、幸なことにB型肝炎にはすぐれたワクチンがあります。容易に性感染するウイルスですから、全員がワクチンを接種しておくべきものと考えられています。実際、先進国のなかには高校生全員にワクチン接種を義務付けている国もあります。日本では医療従事者は接種が義務付けられていますが、他の職業に従事している人には接種していない人も少なくありません。

 太融寺町谷口医院では、性交渉のある年齢のほとんどの方にB型肝炎のワクチン接種を推奨しています。年齢を重ねれば、それだけ抗体ができにくくなりますから、できるだけ若いうちに接種しておくことが望ましいと言えます。ただし、他のワクチンもそうであるように、ワクチンそのものの副作用の報告もありますし、最低3回は接種する必要がありますし、また接種しても抗体ができない人もいますから、ワクチンについて充分ご理解をいただいた上での接種となります。

★B型肝炎のワクチン接種方法

1)まずは、あなたがB型肝炎ウイルスに感染していないか(していたか)どうかを調べる必要があります。

 B型肝炎のウイルスを持ち続けている人は大半が母子感染によるものです。ですから、親族が肝臓の病気で亡くなったという人はこのウイルスを持っている可能性があります。母子感染をしていても自身が気付かないまま抗体ができて治癒していたという可能性もあります。この場合、ワクチンを接種する必要はありません。

 また、成人してから性感染によりB型肝炎ウイルスに感染したものの、自然に抗体ができて治癒していた、というケースもあります。この場合は、今後B型肝炎ウイルスに罹患することはありません。したがってワクチンを接種する必要もありません。

 このように自然に抗体ができておりワクチンが不要な人もいますが、多くの人はこれまでに感染したことがないはずですから、ワクチンを接種する前に必ず、ウイルスの有無と抗体の有無を確認しておかなければなりません。

 同時に肝臓や腎臓の血液検査をおこない、ワクチンが接種できる身体であることを確認します。

 通常、これらの検査結果が出るまでに1週間程度かかります。


2)血液検査で、ウイルスも抗体も持っておらず(陰性)で、肝臓や腎臓の機能にも問題がない場合、ワクチンを接種することになります。

 ワクチンは皮下注射(または筋肉注射)です。量は0.5ccです。

3)1回目のワクチン接種をしてから4週間が経過した時点で、2回目のワクチンを打ちます。1回目と同じもので量も同じです。

4)2回目のワクチン接種をしてからおよそ5から6ヵ月後に3回目のワクチンを打ちます。1,2回目と同じもので量も同じです。

5)さらに1ヶ月が経過した頃に、もう一度血液検査をおこないます。この時点で抗体ができる確率は80〜90%だと言われています。(ただし年齢・性別によってこの数字は異なります。一般的に若い女性ほど抗体ができやすい傾向にあります) もしも、この時点で抗体ができていなければ、再度3回のワクチン接種を検討します。

6)B型肝炎ワクチンを接種しても、8年程度で半数以上の人は血液検査で抗体が陰性となるとの報告があります。このため、国によってはワクチン接種数年後に、再度1度のみワクチン追加接種をしているところもあります。しかし、最近では血液検査で抗体が検出されなくてもウイルスへの抵抗力は維持されているとの考え方が強くなり、当院でも原則として追加接種はおこなっていません。ただし、免疫不全の患者さんや人工透析を受けている人などでは追加接種が必要となることもあり、患者さんの状況に応じて個別に対応するようにしています。


★A型肝炎ウイルスとは

B型肝炎ウイルスが血液や精液・腟分泌液に含まれているのに対し、A型肝炎ウイルスは口から感染し(経口感染)、糞便に排出されます。したがって、糞便を肥料にして栽培された生野菜が危険であると言われています。現在の日本では糞便の肥料はそれほど多くはありませんが、タイや中国などでは地域によっては現在も一般的な栽培法となっています。また、カキにも含まれていることは周知の事実で、生カキには、毎年冬になると猛威をふるうノロウイルスと同様、A型肝炎にも注意をしなければなりません。

A型肝炎ウイルスが性感染症に含まれる理由は、肛門性交をおこなう人がいるからです。しかし、それだけではありません。肛門付近に付着しているウイルスが性行為の際、手に付いて、パンなどを手で食べるときに口の中に入って感染、ということが可能性としてはあります。

潜伏期間は2週間から2ヶ月程度です。症状は急性B型肝炎のときと同じような、発熱、倦怠感、消化器症状などで、進行すれば黄疸が出現します。

また、1%未満の確率ですが劇症化することもあります。ただし、慢性化することはなく、慢性A型肝炎という病気は存在しません。


★A型肝炎のワクチン接種方法

1)まずは血液検査をおこない、過去に感染したことがあるかどうかを示す抗体(IgG型HA抗体)の有無を調べます。また、同時に肝臓や腎臓の機能をチェックしておきます。

2)抗体がなければ、ワクチンを接種します。皮下注射(または筋肉注射)で量は0.5ccです。

3)4週後に2回目のワクチンを接種します。

4)数ヶ月してから、血液検査をおこない、抗体ができているかどうかを確認します。


2009年4月14日
太融寺町谷口医院
院長 谷口恭