健康保険の適用について
健康保険が使用できるのは、病気やケガを有している場合や、何か症状がある場合に限られます。薬については、医師がその薬が必要と判断した場合にのみ保険診療での処方が可能となります。検査については、医師の診察によりその検査が必要であると判断した場合に限られます。以下に当院に寄せられる質問の代表例を記します。
Q1 はしか(麻疹)の抗体を持っていない成人が多いと聞きました。私のはしかの抗体を健康保険を使って調べてください。
A1 健康な方の感染症の有無を調べるのは保険診療ではできません。したがって自費診療となります。また、抗体が陰性であることがわかり、ワクチン接種をされる場合も保険は適用となりません。ただし、発熱や発疹などからはしかに感染している可能性があると医師が判断した場合は保険診療ではしかの感染の有無を調べることができます。
Q2 健康診断で再検査が必要と言われました。健康保険は使えますか。
A2 使えます。自覚症状がなくとも健康診断や人間ドックで再検査や精密検査が必要と言われた場合は原則として保険診療の適用となります。ただし、一部の腫瘍マーカーの軽度の異常値などだけでは精密検査を保険診療でおこなえない場合もあります。受診前に問い合わせされることをおすすめいたします。
Q3 疲れがたまっています。健康保険で点滴をおこなってもらえますか。
A3 疲れているというだけで健康保険を使って点滴をおこなうことはできません。水分が摂取できる状態であれば、疲れていたとしても点滴をすることにそれほど意味はないでしょうからお勧めはしませんが、自費診療でなら点滴をおこなうことは可能です。ただし、疲れの原因が何かの病気のサインかもしれませんので、疲労感が強いときや長期間続いている場合は診察を受けられることをお勧めいたします。この場合は健康保険の適用となります。
Q4 よく風邪をひきます。保険を使って抗生物質を予防的に処方してください。
A4 原則としてできません。まず風邪症状があっても抗生物質が必要な場合はごく小数例に限られます。それに、現時点で症状がなくて予防的に薬を出すことは、保険診療でなく自費診療であったとしてもお断りしております。
Q5 交際相手がHBV(B型肝炎ウイルス)陽性です。保険を使って自分の感染の有無を調べることはできますか。
A5 HBVは非常に感染力の強いウイルスで、性交渉を介して簡単に感染する感染症ですからこの場合検査は必要と思われますが、健康保険を使っての検査はできません。ただし、HBV感染を示唆するような症状(倦怠感や発熱など)があると医師が判断した場合は保険を使って検査ができる場合があります。しかしながら、このような場合、検査以上に大切なことは早急にHBVのワクチンを接種することです。
Q6 結婚を控えています。性感染症の検査を一通り保険を使っておこなうことはできますか。
A6 できません。健康な方に健康保険の適用はありません。「結婚前」という理由以外にも、性感染症の検査を希望される場合に、「危険な性交渉があった」「パートナーが性感染症をもっている」などがありますが、これらの場合も健康保険の適用はありません。検査をした結果、なにか感染症がみつかり治療が必要と判断されれば、それ以降は保険診療がおこなえます。また、「結婚前」や「危険な性交渉」などに関わりなく、なにか症状があり、なおかつ医師が感染症の可能性があると判断した場合は保険診療をおこなうことは可能です。
Q7 仕事中の事故には健康保険が使えないのですか。
A7 仕事中や通勤途中の事故の場合は、労災保険の適用となる可能性があります。当院は労災指定医療機関ではありませんので、その場合は指定医療機関で受診されることをお勧めします。指定医療機関であれば、窓口負担が生じません。当院のような「非指定医療機関」でも労災を取り扱うことはできますが、その場合はいったん全額を窓口でお支払いいただき、後日還付を受けることになります。
太融寺町谷口医院院長 谷口恭
参照:『保険診療の手引』〔全国保険医団体連合会発行〕
2008年12月25日