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湿疹・かぶれ・じんましん

おそらく生涯にわたり、湿疹・かぶれ・じんましんのいずれとも縁がないという人はそうおられないと思います。それだけ身近な疾患ですし、大事にいたることのほとんどないものですから自身で治療を試みられたことのある方も少なくないと思います。ところが、クリニックを受診される方のなかには、自身で治療を試みてよけいに悪化したという人も少なくありません。ここでは、日頃患者さんからお受けするご質問にお答えしたいと思います。

Q1 湿疹・かぶれ・じんましんはどう違うの?
Q2 かぶれはアレルギーによるものなのですか?
Q3 金属アレルギーが夏に多いのはなぜですか?
Q4 パッチテストをしてほしいのですが・・・
Q5 かぶれでじんましんが起こることがあるって聞いたんですけど・・・
Q6 じんましんはアレルギーで起こるのですか
Q7 じんましんの原因となる物質を教えてください
Q8 じんましんがよく起こるので血液検査でアレルギーをしてほしいのですが・・・
Q9 風呂上がりに毎日じんましんが出ます・・・
Q10 じんましんが一月以上続いています。治らないのでしょうか・・・
Q11 じんましんで重症になることがあるって聞いたんですけど・・・



Q1 湿疹・かぶれ・じんましんはどう違うの?

A1
 湿疹とは、簡単に言えば、皮膚に起こる「炎症」のことです。湿疹の原因は様々ですし、見かけ上もいろいろです。湿疹を見つけた場合、その原因を特定して適切な治療をおこなうことが必要です。

かぶれは湿疹のひとつの種類です。この場合は原因となる物質があるのが普通ですから、治療後はその物質に触れないようにすることが必要です。

一方、じんましんは、湿疹とはメカニズムが異なります。じんましんは「炎症」ではなく、皮膚の少し下の部分(真皮層の上層)の血管から水分が皮膚に漏れ出すことによっておこります。ですから、当然、湿疹とは治療方法が異なります。皮膚の状態は盛り上がって(膨疹)、円形、楕円形、線状、花びら状、地図状などを示すことが多いのですが、1~2mm程度の小さなものもあります。一般的には数時間で消えることが多いのですが、なかには1日中消えないものもあります。

治療は、湿疹・かぶれならステロイドの外用薬を使い、痒みの症状が強ければ抗ヒスタミン薬(または抗アレルギー薬)の内服を併用します。ステロイドに恐怖感を持っている方もおられるかもしれませんが、通常は短期間(1~2週間程度)の外用で済みますから、副作用を心配する必要はありません。一方、じんましんの場合は、塗り薬はほとんど効果がありません。したがって、抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の内服が基本的な治療法となります。


Q2 かぶれはアレルギーによるものなのですか?

A2 そうとは限りません。かぶれには「刺激性」のものと「アレルギー性」のものがあります。

「刺激性」のものは、原因となる物質に接触したあと、比較的早い時期に発症し、痒みよりもむしろヒリヒリ感やムズムズした感じになります。初めて接触した物質でもおこります。よくあるのが油・洗剤・石鹸などです。赤ちゃんのおむつかぶれもこれに相当します。食べ物ではニンニク(すりおろしたもの)がよくあります。

 これに対し、「アレルギー性」のものは、初めて接触した物質ではかぶれがおこらずに2回目以降に接触したときにおこります。接触した部位以外にも症状が広がることもあります。また、アレルギーのある物質と化学構造が似ている物質に接触しても起こることがあります。原因物質は、植物ではうるしや桜草,菊が高頻度に起こります。食べ物では、最近増えているマンゴーの他、シソ、ゴマ、卵、魚肉類、キュウリ、トマト、ナス、ポテト、レタス、メロン、キウイ、バナナ、栗などによるものがあります。その他では化粧品や防腐剤でも起こることがあります。原因物質に接触してから1~2日程度たってから症状がでるため、さかのぼって原因物質を探すことが必要です。

アレルギー性のかぶれの場合、いわゆる「パッチテスト」をおこなって原因物質を特定するという方法があります。原因かもしれない物質を皮膚に塗布し48時間後(及び72時間後)に判定をおこないます。

また、光が関与していることもあります。物質に触れただけでは症状がでないけれども、その部分に光があたることによってかぶれが生じるというものです。よくあるのが痛み止めの塗り薬を塗って光にあたってかぶれができた、というものです。香料や日焼け止め、抗菌加工をおこなっている製品で起こることも珍しくありません。光が関与する場合もアレルギーによるものとそうでないものがあります。

参考ページ 
はやりの病気第15回 日焼け -日光皮膚炎-
はやりの病気第36回 夏のかゆみにご用心


Q3 金属アレルギーが夏に多いのはなぜですか?

A3 汗をかくからです。汗が時計やネックレスなど肌身につけているものに作用し、金属をイオン化させます。するとそのイオン化した金属に対して皮膚がアレルギー反応をおこすのです。パーティなどでどうしても金属製のアクセサリーをを身につけなければならないときは、できるだけアクセサリーを装着する時間を短くするようにして汗をかかないような対策をたてるといいでしょう。

金属アレルギーの原因として多いのが、ニッケル、コバルト、クロムで、コバルトは女性に多く、クロムは男性に多いと言われています。逆にアレルギーの原因となりにくいのが、チタンや純度の高いゴールド、プラチナなどです。

金属アレルギーが夏に多いのは夏には汗をかくからですが、実は汗そのものにも微量な金属が含まれています。したがって、金属アレルギーをおこしやすい体質の人は汗をかくだけでも身体が痒くなることがあります。さらに、このような体質の人はナッツを食べるときにも注意が必要です。ナッツの皮には少量のニッケルが含まれているからです。


Q4 パッチテストをしてほしいのですが・・・

A4 金属アレルギーの原因金属や化粧品かぶれの原因をつきとめるときにパッチテストは有用な検査方法です。ただし、パッチテストは4型アレルギーといって遅延型のアレルギー反応を調べる検査で、判定までに時間がかかるのが難点です。通常、原因として考えられる金属やその他の物質を皮膚に貼り付けて48時間後と72時間後に効果判定をします。原則として検査開始48時間は入浴ができません。

金属アレルギーは皮疹の性質と問診からほとんどの場合において診断をつけることが可能です。したがって、実際にはパッチテストをおこなわずに治療が開始されることが多いと言えます。

注意1 現在当院ではパッチテストをおこなっていません。これは48時間後と72時間後に効果判定が必要なため、水曜日貼付→金曜日判定(48時間後)→土曜日判定(72時間後)、というスケジュールでしかできないということと(当院は木・日・祝が休診です)、大半の患者さんが48時間もの間入浴できないことに抵抗を示され、希望する患者さんがほとんどいないためです。

注意2 パッチテストと似たテストにプリックテストというものがあります。これは皮膚に微小な傷をつけてその上に食品や薬品を置いて反応をみる検査です。このアレルギー検査は�型アレルギーといって即時型のアレルギー反応を調べるもので、特に子供の食物アレルギーの検査には有用です。30分程度で結果がでます。ただし、当院では該当する患者さん(食物アレルギーを疑う小児)がそれほど多くないことと、血液検査でもある程度代用できることから現在はおこなっていません。



Q5 かぶれでじんましんが起こることがあるって聞いたんですけど・・・

A5 一般的にかぶれのことを「接触皮膚炎」と呼びますが、このなかに「接触じんましん」と分類されるものがあります。接触じんましんでは、原因物質に接触した部分にじんましんが出現し、重症になると、接触部位を超えて全身にじんましんが拡大します。ひどい場合は、息苦しくなったり意識をなくしたりすることもあります。稀ではありますが死亡例もあります。

原因物質で最近増えてきているのが、ゴム手袋やコンドームに含まれるラテックスです。その他では、化粧品に含まれるパラフェニレンジアミン、コラーゲンなどが比較的よく起こりえます。

参考ページ
はやりの病気第35回 ラテックスアレルギー


Q6 じんましんはアレルギーで起こるのですか

A6 アレルギーで起こるものとそうでないものがあります。かぶれの場合は、遅延型アレルギー(Ⅳ型アレルギー)といって、接触してから1~2日程度たってから出現することが多いのに対して、アレルギーの関与するじんましんは、接触してすぐにおこる(これを「即時型(Ⅰ型)アレルギー」といいます)のが特徴です。食べ物で多いのが、サバやアジといった青魚、豚肉を初めとする肉類、ソバ、タケノコ、エビ、カニなどです。しかし、これらの食べ物は必ずしもアレルギーの機序が関与しているというわけではなく、アレルギーに関係なくじんましんが起こることもあります。


Q7 じんましんの原因となる物質を教えてください

A7 食べ物では、魚介類(サバ、マグロ、サンマ、エビ、カニなど)、肉類(豚肉、牛肉、鶏肉など)、卵、乳製品(鶏卵、牛乳、チーズなど)、穀類・野菜(大豆、小麦、ソバなど)があります。食品添加物(特に黄色・赤色の人工色素)やパラベンなどの防腐剤でおこることがあります。

食べ物以外でじんましんの原因(要因)となるのは、薬剤(特に抗生物質、解熱鎮痛薬、咳止めなど)、植物・昆虫(特にハチ)、感染症(寄生虫、真菌(カビ類)、細菌、ウイルスなど)、物理的刺激(圧迫、日光、寒冷、温熱、振動など)、運動・発汗、内臓・全身性疾患(血液疾患、膠原病、血清病など)です。

また、疲労やストレスが誘引となることも珍しくありません。


Q8 じんましんがよく起こるので血液検査でアレルギーをしてほしいのですが・・・

A8 これは外来でよく患者さんから言われることです。当クリニックでも、ご希望があれば血液検査でアレルギー検査をおこないますが、じんましんの大部分はアレルギー検査をおこなっても異状がでません。また、血液検査でアレルギーが陽性と出ても、必ずしもその食べ物を食べてはいけないというわけではありません。ですから、参考にする程度ならかまわないのですが、血液検査で何もかも分かるというわけではありません。大切なのはじんましんの原因として疑わしい物質を避けることなのです。


Q9 風呂上がりに毎日じんましんが出ます・・・

A9 これはよくあるタイプのじんましんで「コリン性じんましん」と呼ばれます。風呂以外には運動したときに出るという人もいます。要するに身体が温まったときに出現するのです。このタイプのじんましんは、皮疹の膨らみが1~3mm程度と、小さいのが特徴です。ほぼ例外なく数時間で消えますから、数日間も続くようならじんましん以外の病気を疑った方がいいでしょう。


Q10 じんましんが一月以上続いています。治らないのでしょうか・・・

A10 一月以上続くじんましんを「慢性じんましん」と呼びます。慢性じんましんの場合、アレルギー性であることはほとんどなく、ほとんどが血液検査や皮膚の検査をおこなっても異状がでません。この場合は、根気よく抗ヒスタミン薬または抗アレルギー薬の内服を続ける必要があります。(「アレルギーでないなら、どうして抗アレルギー薬が必要なの?」という質問をよく受けます。この理由は、アレルギーが関与していなくても体内のヒスタミン遊離が原因になっているために、そのヒスタミンをブロックする抗アレルギー薬が効果があるからです。)

毎日薬を飲むのはかなりタイヘンなことですが、飲み続けているうちにじんましんが出現しなくなり、薬を中止する、あるいは徐々に減らすなどして様子をみることができるようになります。なかには何年たっても薬が手放せないという人もいますが、適切な薬を適切に内服していれば症状の出現を抑えることができます。他の慢性疾患と同様、慢性じんましんは医師と協力して、中長期的に考えていくことが大切です。

女性の場合、妊娠していると抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬は内服できません。この場合は妊娠していても飲める薬に切り替えていくことが必要となりますが、抗ヒスタミン薬のように劇的に効く薬はなく、人によって効果が異なります。この場合、主治医と相談しながら自分にあった薬を見つけることが必要です。当クリニックでは、抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)に代わるものとして、トラネキサム酸、H2ブロッカー、漢方薬などを処方することがあります。

 
Q11 じんましんで重症になることがあるって聞いたんですけど・・・

A11 ここでは2つをご紹介したいと思います。

ひとつは、目や唇などが大きく腫れ上がるタイプのもので、これを「血管性浮腫」と呼びます。血管性浮腫は、痒みがほとんどなく消失するのに2~3日かかるのが特徴です。重症化すると喉頭が腫れ上がり気道が閉塞してしまうことがあります。したがって、目や唇が腫れてきて息苦しくなればすぐに救急車を呼ばなければなりません。(血管性浮腫にかかわらず息苦しくなったときはすぐに救急車を呼ぶ必要があります) 血管性浮腫には、まれに遺伝性のものもあります。軽微な外傷、抜歯、手術、月経などや、精神的緊張、ストレス、不安、疲労などが誘引となって起こると言われています。

もうひとつは、最近注目されているじんましんで、特定の食べ物(小麦やエビなど)を食べた後、運動をすることによって出現するタイプです。重症化すると血圧低下、呼吸困難、意識消失などがおこりえます。この状態を「運動誘発アナフィラキシー」と呼びます。非常に危険な病態ですが、原因となる食べ物を食べない、もしくは食べた後は運動を避けることによって症状出現を予防することができます。


2010年9月15日
太融寺町谷口医院
院長 谷口恭

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