医療ニュース

2011年6月25日(土) リンゴ病が過去10年で最多

 今年(2011年)はリンゴ病が4年ぶりに増加していることを以前(2011年2月)にお知らせしましたが(下記「医療ニュース」参照)、その後も増加傾向にあり、6月6~12日の週の報告数は、2000年以降の同時期で最多となっていることが国立感染症研究所感染症情報センターにより発表されました。これまで過去10年で最も多かったのは2007年でしたが、この週に関しては2007年を超えているというわけです。

 リンゴ病(正式名称は「伝染性紅斑」)は、4~6年周期で流行を繰り返すと言われており、流行の年には年明けから7月上旬くらいまで感染者が増加します。

 都道府県別のデータをみると、宮崎が最も多く、群馬、山梨、埼玉、栃木と続いています。

 リンゴ病の原因ウイルスは、ヒトパルボウイルスB19と呼ばれるものです。感染してから10~20日後に、小児であれば、ほっぺたに赤い発疹が出現し、続いて手や足に網目状の赤い発疹が現れます。小児の場合はほとんどが重症化せずにすぐに治りますが、成人の場合は強い関節痛や高熱などが生じることがあります。また、妊婦さんが感染すると、流産を起こすことがあります。

 このため国立感染症研究所感染症情報センターは、「保育園や幼稚園、小学校などで流行している場合には、妊婦の施設内への立ち入りを制限することを考慮すべきだ」とコメントしています。

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 リンゴ病が成人に感染した場合、特徴的なほっぺたの紅斑がでないことがありますし、上下肢の紅斑も典型的なものにならないこともあります。さらに、パルボウイルスB19の抗体検査は保険診療では妊婦さんにしか認められておらず、妊娠していない女性や男性の診断をつけるのは(検査ができないため)非常に困難です。(妊婦さんには絶対に感染させてはいけない感染症ですから、少なくとも妊婦さんと接することがあるリンゴ病が疑われる症例については保険診療で検査できるようにすべき、と私は以前から考えていますが、今のところ改善される様子はありません・・・)

 国立感染症研究所感染症情報センターが言うように、妊婦さんが幼稚園や保育園などに出入りするときは充分に注意しなければなりません。「2番目の子供を妊娠中のお母さんが幼稚園に子供を迎えにいったときに感染・・・」というケースがありうるからです。

(谷口恭)

参考:医療ニュース2011年2月21日「リンゴ病がアウトブレイク!」