マンスリーレポート

2005年4月号 2005/04/08

 4月になりました。私、谷口恭は、3月は比較的平穏に過ごせたように思います。3月から始めた、東大阪市のある診療所での、毎週火曜日午前中の内科・小児科外来も、なんとか軌道にのってきましたし、八尾市のある病院での、毎週木曜日午前中の皮膚科外来も落ち着いてきました。

 改めて考えてみると、私の1週間は、月曜日が、堺市にあるクリニックで皮膚科・アレルギー科の外来をされている先生のもとに修行にいき(これは無給)、火曜日が、東大阪市で内科・小児科外来(これは仕事)、水曜日が大学病院の総合診療科(これは無給)、木曜日が八尾市で皮膚科外来(これは仕事)、金曜日が尼崎市で、整形外科の外来をされている先生のもとでの修行(これは無給)、土日が不規則的に複数の病院での時間外救急外来(これは仕事)、と毎日違うところに仕事や研修に行っています。

 医者のなかでもこれだけ不規則的に生活をしている者は多くないでしょうし、他の仕事でもあまりこういう勤務形態の人はいないのではないでしょうか。毎日違うところに出勤すると、一日一日が新鮮で、あまりストレスも貯まらず、日々新たに学ぶことがあって、私としては非常に理想的なライフスタイルを送れているものと自負しております。

 もう医師として4年目になるのに、無給の研修を入れていると大変じゃないですか、という質問も受けるのですが、そんなことはないのです。医師が最も恐れることは、「収入が低いことではなくて、医師としての技術や知識が停滞してしまうこと」なのです。

 できるだけ多くのことを幅広く学ぼうを思えば、毎日同じところで勤務するよりも、異なる医療現場で学ぶ方が効果がある、と私は考えているわけです。

 これは、私がいわゆる専門医の立場にはなく、ひとりの患者さんの部分的な病気のみをみるのではなく患者さん全体を診ることを目的とした総合診療科医を目指しているから、ということが言えると思います。

 医療の現場から3月を振り返ってみて感じることは、今年はインフルエンザと花粉症が驚くほど多い、ということです。インフルエンザはA型とB型があって、たいがいの人は感染しても、どちらか一方だけであることが多いのですが、なかには今シーズンでA型にもB型にも感染したという人もいました。あの高熱と倦怠感に2回も悩まされる・・・。患者さんとしてはかなり大変だったのではないかと察します。

 インフルエンザのワクチンは、接種すれば、100%予防できるというわけではありませんが、それでも多くの方に有効ですから、今年接種しなくて感染してしまったという人は、来年はぜひともワクチンを検討されていはいかがでしょうか。

 花粉症も今年は爆発的に多いという印象があります。微熱に倦怠感、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ・・・、と多彩な症状を呈する花粉症は本当にやっかいなものです。なかには、喘息の症状を呈したり、皮膚に湿疹が出るひともいます。

 「はやりの病気」でも書きましたが、花粉症は適切な治療をすることにより、かなり症状をとることができますから、あやしい民間療法にすがる前に、ぜひとも医療機関を受診してもらいたいと思います。実際、これまで(処方箋なしで買える)薬局の薬しか使用していなかったり、あやしげな民間療法しかしていなくて、「花粉症は治らないと思っていた」という患者さんが非常に多いのです。そして、そういう人の大部分は、病院や診療所で治療を受けて、「もっと早く受診しておけばよかった」と言うのです。

 さて、最近のできごとと言えば、『偏差値40からの医学部再受験』の2回目の改訂版の執筆が終わりました。これはゴールデンウイーク明けくらいには書店に並ぶ予定です。医学部受験を考えられている方を中心に、私のところには毎日多くのメールが届きますが、そういった人たちの参考になればいいなと考えてます。

 もうひとつ、現在執筆中の本があります。これはまだ正式には決まっていませんが、私が昨年タイ国のエイズホスピスで経験したことを中心にまとめた、タイと日本における今後のHIVとエイズについての本です。

 最近、多くの方から、HIVやエイズの質問を受けますし、実際の診療の現場でも、HIV陽性が分かったり、エイズを発症している人が少しずつ増えているように思います。そして、間違いなく日本においても、近い将来、HIV感染が爆発的に増加することを私は確信しております。そのあたりにも詳しく言及していますので、興味のある方は楽しみにしておいてください。