マンスリーレポート

2007年8月号 産業医の魅力

すてらめいとクリニックは7月30日の午後から8月6日まで休診とさせていただきました。これは、私が産業医の研修に参加していたからです。

 「産業医」とは、一言で言えば、「企業で働く人たちが安全に快適に働けるように健康面のサポートをする医師」のことです。

 私はいつの頃からか、この「産業医」の資格を取得して企業で働く人たちに貢献したいと考えるようになっていました。すてらめいとクリニックは大阪市北区の都心部に位置していますが、都心部でのクリニックにこだわったのも、診療時間を午後8時までと遅い時間にしているのも、都心で働く人たちの力になりたいと考えたからです。

 研修は北九州市の産業医科大学でおこなわれました。数ヶ月前からこの研修を心待ちにしていたのですが、実際行ってみると予想通り、あるいは予想以上に楽しいものでした。
 
 大阪を離れて飛行機に乗って北九州まで行けるということも楽しいことですし、連続6日間の研修を受けることができるというのも私にとってはこの上ない喜びです。受講生が多くて、講義の後、先生に質問ができないというのはややストレスになりましたが、実習については、少人数でおこなわれ質問もできましたから本当に楽しく過ごせました。あらためて、自分は本当に勉強が好きなんだなぁ・・・、と再認識しました。

 さて、これから私は認定産業医の登録をおこなうことになり、実際に産業医として働くことができるのは10月頃になります。

 産業医には専属産業医と嘱託(しょくたく)産業医の2つがあります。

 専属産業医とは従業員1,000人以上の事業所(一部の業種では500人以上)に勤務する産業医で、その企業の一従業員ということになります。

 嘱託産業医は、従業員50人以上の事業所が選任する産業医で、こちらは企業にいつもいるわけではなく、月に1~2度程度その事業所に出向いて仕事をおこないます。(社員数が50人以上ではなく、その事業所に勤務する従業員が50人以上です) 企業側からみれば、事業所に50人以上の従業員がいる場合は、必ず嘱託産業医を選任しなければなりません。

 私が、今年の秋頃から活動する予定なのは嘱託産業医です。クリニックの診療との兼ね合いもあり、捻出できる時間は限られますから、当分の間、契約をおこなうのは1~2社になると思います。

 嘱託産業医は月に1~2度しかその企業に出向きませんが、業務はたくさんあります。

 まず、企業で月に一度開催される「安全衛生委員会」に出席します。ここで、従業員の労働衛生上の問題はないか、職場環境の安全性に問題はないか、病気や怪我などで休んでいる従業員の職場復帰をどうするか、などについての話し合いをおこないます。

 また、月に一度の割合で「職場巡視」をおこないます。工場などでは、粉塵の処理はできているか、有害物質の管理は適切か、などを巡視しますが、オフィス(事務所)では、照度やパソコンの環境(VDT対策はできているか、など)などをみます。

 それから、(私が予想するにこれが一番重要だと思うのですが)、過重労働をおこなっている従業員との面談をおこないます。

 これは、2006年の4月に改正された労働安全衛生法の、「月に100時間を越える残業をおこなった者で、本人の申し出があれば、企業は産業医との面談を受けさせなければならない」、という規定によるものです。もちろん、これは最低限の基準ですから、100時間を越えていなくても、疲労が蓄積していたり強いストレスを受けていたりする場合は、産業医の面談を受けることができます。

 おそらく現在の日本の会社員で月の残業時間が100時間を越える人は少なくないでしょう。それは、すてらめいとクリニックを受診される患者さんに話を聞いていれば分かります。なかには、毎日会社を出るのが早くても深夜2時という人もいますし、もう2ヶ月以上も休みをとっていない、と話される人もいます。(そういう私も5月4日から休みが一日もありませんが・・・)

 過重労働に加え、おそらく現在の日本のビジネスパーソンが直面している重大な問題はメンタルヘルスです。過重労働から、あるいは、配置転換、昇進、職場の人間関係などから、不眠症や不安症、うつ病といった精神的な疾患に罹患する人は少なくありません。すてらめいとクリニックを受診する患者さんにもこういった方は多く、定期的なカウンセリングに通われている患者さんもいます。

 ちなみに、職場に原因または悪化因子があって、心身に症状が出現している患者さんを年代でみると、女性であれば20代、男性は30代半ばから後半の人に多いような印象があります。

 私は今年39歳になりますから、男性の患者さんで職場のストレスを訴える人をみると同年代として他人事でなく放っておけない気持ちになります。私が大学を卒業し就職した1991年はバブル組と呼ばれ、世界を代表するような大企業からの求人がひっきりなしにきていた時代です。

 あの頃は、「24時間働けますか」という言葉が流行語にもなって、みんなが仕事に夢を持っていたように思います。私も例外ではなく、仕事自体はたいへん楽しかったですし、いろんな勉強をさせてもらいました。結局、退職して最終的に医師という職業を選び、さらに自身でNPO法人もたちあげましたから、自由に使えるお金が会社員時代より少なくなったとはいえ、人生のミッションを遂行しているように感じてはいます。しかしながら、「あのまま会社に残っていたら今頃は・・・」といった後悔にも似た一抹の寂しさを覚えることがあります。

 あの頃、私と同じように夢をみてがんばっていたビジネスパーソンがストレスを抱えメンタルヘルスの問題に悩んでいると思うと、放っておけない気持ちになり、少しでも力になりたいのです。

 医師は患者に感情移入をしすぎてはいけない、というのは我々医師が忘れてはならないルールですが、日本のビジネスパーソンが健康に楽しく働けるようにできる限りのことをやりたい!、と今は思います。


 ビジネスパーソンのみなさん、夢を求めて働きましょう。けど、あまり頑張りすぎないように・・・。疲れたときは、産業医を頼ってみてください。

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2019/09/18

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