医療ニュース

2013年2月22日(金) 首からぶらさげる「ウイルス除去剤」でやけどの被害

 すでにマスコミでも報道されていますが、首からぶらさげるタイプの「ウイルス除去剤」でやけど被害が相次いでいます。重症例も出ているようで、消費者庁が注意を促しています(注1)。
 
 この製品は、消毒効果のある次亜塩素酸ナトリウムを含む錠剤の入ったパックを首からぶら下げて使うことで、ウイルスが除去できる、とされています。

 皮膚科関連の学会に寄せられた報告によりますと、今月中旬までに17例の症例報告があり、そのうち、製品が確認できている11例の全てが、ダイトクコーポレーション社製の「ウイルスプロテクター」という製品だったそうです。
 
 この製品はすでに国内で70万個が流通しており、厚生労働省が同社に自主回収を指導する予定だそうです。

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 今年に入り、首からネームプレートのような奇妙なものをぶらさげている患者さんが増えたな、と思っていたらこれが「ウイルスプロテクター」でした。

 このやけどは「化学熱傷」と呼ばれるもので、次亜塩素酸ナトリウムの錠剤が汗に触れたことで発症したのだと思われます。衣服の上から装着するだけであれば問題ないと思いますが、熱傷を負った人たちはおそらくこの製品をつけたまま寝てしまったのではないでしょうか。
 
 化学熱傷の場合、気づいたときにはそれほどひどくなくても、時間がたってから皮膚の障害が進行することがあります。思い当たることがある人は、軽症であったとしても一度医療機関を受診すべきだと思います。
 
 それから、問題になっている「ウイルスプロテクター」以外にも似たような製品が多数出回っているそうですので注意が必要です。

(谷口恭)

注1:消費者庁の注意勧告は下記のURLで閲覧することができます。

http://www.caa.go.jp/safety/pdf/130218kouhyou_1.pdf