医療ニュース

2013年6月3日(月) 毎日温泉で脳卒中・心臓病が予防可能

 毎日温泉に入ると、脳卒中や心筋梗塞・狭心症といった心臓病が発症しにくくなる...

 これは、温泉の医学的な効能を研究している九州大病院別府病院などが発表した研究結果で、2013年5月24日に開催された第78回日本温泉気候物理医学会で報告されたそうです。(報道は2013年5月22日の読売新聞(オンライン版)など)

 報道によりますと、九州大病院別府病院や地元医師会が2012年11月に65歳以上の市民2万人を対象に健康に関するアンケートを実施し、そのうち全体の55.7%に相当する11,146人から回答を得たそうです。

 毎日1回以上温泉に入る人が約半数を占め、温泉の利用状況と脳卒中・心疾患の関係を解析したところ、毎日入浴する人のうち脳卒中を起こしたことがある人が2%だったのに対し、その他の人では3.4%と高い値が出たそうです。心筋梗塞・狭心症も、毎日入浴する人では6.1%だったのに対し、その他は8.2%と高かったそうです。

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 上記の数字が統計学的にどれくらい意味があるのかについては報道からはわかりませんが、夢のある研究と言えるかもしれません。

 しかし、調査の方法が「毎日入る」か「それ以外」とされていますから、別府のような温泉街に住まない限りは、「毎日入って脳卒中・心臓病を予防する」ということは現実的ではありません。

 日本温泉気候物理医学会という学会のことを私はこの記事を読むまで知らなかったのですが、学術大会が78回も開かれているということは歴史のある伝統的な学会なのでしょう。

 私の個人的な興味ですが、本物の温泉ではなく「天然温泉入浴剤」ではどうなのか、毎日ではなく週3回ではどうなのか、予防だけではなく例えば「脳卒中や心臓病の再発予防」には有効なのか、温泉によっては温度が様々ですが最適温度はどれくらいなのか(心臓病には熱すぎる温度は良くないと思うのですが...)、などについても研究してほしいと思います。今後のこの学会に注目したいと思います。

(谷口恭)