医療ニュース

2008年10月14日(火) 日本国内で梅毒が急増!

 2003年から2007年の4年間で、日本の梅毒陽性者が44.8%も増加していることが、国立感染症研究所の感染症発生動向調査で明らかとなりました。(報道は10月6日のキャリアブレイン)

 同研究所によりますと、2003年から2007年の梅毒患者の年別報告数は、それぞれ509人、535人、543人、637人、737人となっています。特に2006年、2007年は、それぞれおよそ100人も前年を上回っています。

 感染経路は、2004年から2007年に報告された2,452例のうち、81.3%に相当する1,993例が性的接触によるもので、その他には母子感染31例、輸血による感染8例となっています。

 母子感染による先天梅毒の小児患者報告数は、1999年以降、2006年の10例が最多でしたが、今年は8月27日時点ですでに7例の報告があり、同研究所は「増加が懸念される」と述べています。

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 「母子感染が増えている」という事実に驚かされます。梅毒は通常「妊婦健診」でチェックしますから、妊婦健診が終わってから新たに感染しているのでしょうか。

 また、この報告で気になるのは、梅毒が増えているのは間違いないとしても(すてらめいとクリニックで見つかることも珍しくありません)、1年間の総数が1,000人以下というのは少なすぎるということです。

 HIV感染が新たに判った人が、昨年(2007年)1年間で1,500人ですから、梅毒陽性者がその半分というのは事実を反映していないように思えます。なぜなら、日々の診察では梅毒の方がHIVよりも多く見つかりますし、感染力も梅毒の方が圧倒的に強いからです(梅毒はコンドームをしていても完全には防ぎきれません!)

 ということは、自覚症状が出ないがために感染に気づいていない梅毒陽性の人がかなり大勢いることが予想されます。

(谷口恭)