医療ニュース

2008年10月24日(金) 「つけ爪」で化膿、被害相談が急増

 国民生活センターは10月16日、プラスチック製の人工爪を専用の接着剤などで爪の上にはり付ける「つけ爪」に関する被害相談が増えていることを発表しました。(報道は10月20日の読売新聞)

 同センターによりますと、つけ爪の相談は1998年度以降、2008年10月1日までに計38件寄せられています。特に、ネイルサロンや自分でつけられる専用材が増えた2006年度以降に急増しているそうです。

 相談内容は、「ネイルサロンでつけ爪をした2日後から指が腫れて化膿(かのう)した」、「雑貨店で買ったつけ爪用の接着剤1滴を足にたらして指先大のやけどを負った」、などとのことです。爪と人工爪の間に黒いカビが発生したという相談もあったようです。

 同センターの危害情報室は、ネイルサロンの開業や施術に規制がないことや、接着剤の成分や注意表示が義務づけられていないことがトラブルの背景にあると指摘しています。消費者にも、「使用方法を確認し、施術後の衛生管理もしっかり行ってほしい」と呼びかけています。

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 これは、日々の診療のなかでもよく遭遇します。ネイル(つけ爪)をつけっぱなしにしていると爪とネイルの間に細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすくなります。

 一番多いのが、緑膿菌による感染で、爪が緑っぽくなるのが特徴です。(これを「グリーンネイル」と呼びます)

 この場合、自分の判断で抗生物質を塗ったり飲んだりしても治らないことがほとんどです。グリーンネイルが生じた場合は、抗真菌薬の内服が必要になります。(緑膿菌が繁殖しているのは事実ですが、おそらくその繁殖に真菌(カビ)が関与しているからでしょう)

 爪の病気はときに長引きます。「おかしい」と思えばすぐに医療機関を受診するようにしましょう。

(谷口恭)