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2008年12月1日(月) 妊婦のカフェイン摂取が胎児発育遅延のリスク

 「妊婦のカフェイン摂取が胎児の発育遅延のリスクをもたらす」という研究が報告されました。(200年11月3日の『British Medical Journal』という医学誌のウェブサイト版)

 以前から、妊婦のカフェイン摂取は出生体重の低下をもたらすのではないかと言われることがありましたが、今回の研究では、カフェイン摂取と胎児の発育遅延リスクの関係が統計学的に有意になることが示されています。

 もっとも、カフェインが胎盤を通貨することは元来から知られており、欧米諸国では妊婦のカフェイン摂取は1日に300mg以下が望ましいとされています。カフェイン300mgというのは、コーヒー小カップ2杯程度です。しかし、今回発表された研究では、それより少ない摂取量でもリスクがあるとされています。

 研究者は、2003年9月から2006年6月まで、イギリスの2つの病院の産科で、妊娠8~12週の妊婦2,635人(平均年齢30歳)に対して質問票を用いて妊娠前4週から出産までのカフェイン摂取量を調べています。

 カフェイン摂取源は、紅茶62%、コーヒー14%、コーラ12%、チョコレート8%、ソフトドリンク2%となっており、市販薬などからのカフェイン摂取はごくわずかで無視できるレベルでした。

 2,635人の妊婦が出産した2,635人の新生児のうち、発育遅延は343人(13%)に認められています。カフェインを1日200mg以上摂取したグループでは、1日100mg未満のグループに比べ、産児の体重が60~70g少なかったという結果がでています。

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 今回の研究では、喫煙や飲酒などカフェイン以外に胎児発育に影響を与える因子は除外されていますから、「カフェインは従来の目安とされていた300mgより少ない摂取量でもリスクがある」、ということになります。

 カフェインと言えばコーヒー、のように思われることがありますが、実際にはコーヒーよりも紅茶に多く含まれており、また日本茶でも玉露のようなものはカフェイン量がコーヒーの3~4倍と言われています。また、コーヒーよりも少ない量ですが、ウーロン茶やコーラにもカフェインは含まれています。

 これらを考えると、「妊婦はいったい何を飲めばいいの?」と言いたくなります。

(谷口恭)