医療ニュース

2008年12月15日(月) 女性の喫煙は14.5年も短命に

 先月(11月)は米国では肺がんの月だそうです。米国産婦人科学会(ACOG)が、これを機会に女性は喫煙をやめるように呼びかけました。(報道は11月27日のHealth Day News)

 同学会のSharon Phelan博士は「女性が喫煙によって受ける障害は広範にわたり、生涯観察される。喫煙は有害な習慣であり、体内のほぼすべての臓器に悪影響を及ぼす」と述べているそうです。米国では女性の喫煙は寿命を14.5年も短縮させると言われていますが、18歳以上の米国人女性の5人に1人は喫煙者です。

 女性の喫煙は、肺癌の他、乳癌、口腔癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、膵癌、腎癌、膀胱癌、子宮体癌、子宮頸癌などのリスクを上昇させると言われています。

 また、心筋梗塞など心疾患の発症率は2倍、肺気腫など慢性閉塞性肺疾患の死亡率は10倍にもなると言われています。さらに、気管支炎、骨粗鬆症、関節リウマチ、白内障、閉経後の骨密度低下、股関節骨折、早期閉経、歯周病、歯の喪失、皮膚の早期老化などとも原因があることがわかっています。

 若い女性の場合、妊娠への影響も見逃せません。未熟児や低体重児となることもありますし、肺機能不良や気管支炎、喘息をもった新生児が生まれるリスクも高まります。避妊薬(ピル)を服用している女性では、血栓症(血が固まりやすくなる病気)のリスクもあります。

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 私自身も元喫煙者なので、タバコを吸いたくなる女性の気持ちも分かるのですが、それでもこれだけの病気のリスクがあることを考えると「やっぱりタバコはやめましょう」と言いたくなります。

 実際、ピルを服用していてタバコを吸っている女性の血液検査をすると、血が固まりやすくなっている状態になっていることがときどきあります。(当院では喫煙者にピルを処方する場合、半年から1年に一度くらいの割合で血液検査をしています)

 今は、保険を使って禁煙に取り組むこともできますし、やめたい女性(もちろん男性も)がいれば応援させていただきます!

(谷口恭)