医療ニュース

2008年6月9日(月) サマータイムは健康損なう?

 現在、サマータイム制度を導入する法案が検討されていますが、6月5日、日本睡眠学会は、「サマータイム制度は、健康に悪影響を及ぼす恐れがある」として導入に反対する声明を発表しました。(報道は6月6日の共同通信)

 同学会によりますと、夏季に時計の針を1時間進めるこの制度は、必ずしも省エネにつながらず、医療費の増加など経済的損失をもたらす可能性があるそうです。

 同学会は次のようにコメントしています。

 「夏時間への変更後数日から2週間程度は、睡眠時間の短縮や、眠りが浅くなるなどの睡眠の質の低下、抑うつ気分や自殺増加などが起こる恐れがある。特に西日本を中心に暑さが残る時間帯に就寝時間を迎えるため、寝付けずに睡眠時間の短縮などを招く可能性が高い」

 睡眠障害は、うつ病やメタボリック症候群などの要因となることが指摘されています。また、現在でも医療費増加や作業能率の低下などで国内で年間約3兆5000億円の経済損失が生じているとの試算もあります。同学会は、「サマータイム制度導入で1兆2000億円の経済的な損失が新たに生じる可能性がある」としています。

 米国ではサマータイム制度導入後に、冷房使用の増加などで電気消費量が増えたとの報告もあるようです。

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 韓国では88年のソウルオリンピックの年に、欧米諸国に合わせるためにサマータイム制度を導入しましたが、わずか2年で中止されています。

 以前、この理由を韓国人に聞いたことがあるのですが、彼女によりますと「サマータイム制を導入して出勤時間は1時間早くなったが、必ずしも帰宅時間が1時間早くなるわけではなく、結局のところ朝のサービス残業が1時間増えただけだった」、そうです。

 ワーカホリックの日本人も韓国と同様の結果に終わりそうな気がします・・・

(谷口恭)