医療ニュース

2008年7月24日(木) 男性の「せっかち」「怒りっぽい」は心臓病になりにくい!?

 「せっかち」「怒りっぽい」などの特性がある男性は、比較的のんびりした人より、心筋梗塞などの虚血性心疾患になりにくい・・・

 このような調査結果が厚生労働省の研究班から発表され話題を呼んでいます。(報道は7月18日の日本経済新聞夕刊)

 この調査は1990年以降、岩手など計8県の40歳から69歳の男女約8万6千人を対象にして、平均で約11年半追跡しています。この間に約670人が心疾患を発症しています。アンケートで「せっかちさ」や「怒りっぽさ」、「競争心の強さ」などを尋ねて結果を数値化し、数値の高さで4つのグループに分け、心疾患との関連が分析されています。

 その結果、数値が最も低く「のんびり」傾向が強い男性は、数値が最も高い「せっかち」男性に比べ心疾患を発症するリスクが1.3倍高いとの意外な結果がでています。

 欧米の研究では、この結果とは逆に、せっかちな方が日常のストレスが大きく、心疾患のリスクが高いとされています。興味深いことに、今回の調査でも女性については、欧米と同様の傾向がみられています。(つまり、せっかちな人ほど心臓病になりやすいという結果になっています)

 欧米で逆の結果が出たのは、せっかち派がストレスを受けやすく、喫煙や大量飲酒など不健康な生活をしがちなためと考えられます。喫煙や大量飲酒などの生活上の特徴は、男女とも欧米の結果と一致しています。
 
 研究者のひとりは、「日本では、せっかちな男性の方がストレスを意外にうまく発散し、のんびり型の男性が内にストレスをため込む傾向があるのかも」と話しているそうです。

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 これらをまとめると、日本人男性の「せっかち派」はストレス発散が上手で喫煙や飲酒に走らない。一方、欧米人や日本人女性の「せっかち派」と日本人男性の「のんびり派」は、ストレス発散が苦手で喫煙や飲酒に頼ってしまう・・・、となるかもしれません。

 大切なのは、ストレスにうまく対処できるようになることとお酒やタバコに頼らないことです。これらはたしかにむつかしいことでしょうが、「せっかち」や「のんびり」といった性格を変えるのはもっとむつかしいでしょうから・・・。

(谷口恭)