医療ニュース

2008年8月1日(金) 院外処方せんの「後発薬に変更不可」が4割

 特許の切れた価格の安い後発薬品(ジェネリック薬品)は厚生労働省の考えどおりには普及していないようです。

 2008年3月までは、医師が後発薬品でもかまわないとしたときには、処方せんの「後発薬品への変更可」という欄に署名をすることが必要でした。

 厚生労働省は、この署名を面倒に感じる医師が多いと考えたこともあり、2008年4月からは様式を逆にして「変更不可」の署名がなければ、後発薬に替えられるようにしました。

 調剤薬局チェーン大手の日本調剤の調査によりますと、同薬局へ提出された処方せんのおよそ4割に、「変更不可」の医師の署名があったことがわかりました。(報道は7月25日の共同通信)

 「変更不可」の署名は4月が39%、5月が40%、6月42%と少しずつ増えています。
 
 一方で後発薬を希望する患者数は増加しています。「変更不可」の署名がない場合は、後発薬を使うかどうかは患者サイドで決めることができます。実際に、後発薬を選んだのは4月が43%だったのに対し、6月は50%に達しています。ところが、医師が「変更不可」とするケースが増加しているために、全薬剤に占める後発薬の割合は20%台にとどまっています。

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 一般的に後発品は先発品に比べて価格が3~7割程安くなっており、後発品が普及すれば医療費を抑制することができます。厚生労働省は、2012年度までに後発品の割合を30%にすることを目標としていますが、2006年度の実績では17%です。

 参考までに、米国、英国、ドイツなどでは後発品の普及率が50%を越えています。

 すてらめいとクリニックはほとんどが院内処方ですが(院外処方を選ぶ患者さんはほとんどいません)、在庫している薬品の多くを後発品にしています。ただし、後発品のない薬品(特許の切れていない薬品)も多数ありますから、全体ではおそらく60から70%程度になると思われます。
 
(谷口恭)