医療ニュース

2008年8月1日(金) 男性の筋力アップは死亡率を低下させる

 ジョギングや水泳などの有酸素運動が生活習慣病の予防や改善に有効なことは有名ですが、筋トレなどの無酸素運動が健康にいいことを示す研究はそれほど多くありません。

 7月12日に『BMJ』という医学誌に掲載された論文で、「男性の筋力アップは全死亡率、さらに癌死亡率を低下させる」という内容が報告されました。

 この研究は、米国のあるエアロビクスセンターで、20~80歳の男性8,762例を対象に調査がおこなわれています。年齢、筋力(レッグプレスとベンチプレスの最大回数)、トレッドミルを用いた心肺系の状態などを元に、死亡率や癌死亡率などとの関係が調べられました。

 追跡期間(平均18.9年)中に死亡した男性は503例で、うち145例の死因は心血管系(心筋梗塞など)で、199例の死因は癌でした。筋力のグループを、低筋力群、中筋力群、高筋力群とすると、各グループの死亡率は、全死亡率で、38.9、25.9、26.2、心血管系では、12.1、7.6、6.6、癌死亡率では、6.1、4.9、4.2となっています。

 この調査をおこなった研究者は、「上半身および下半身の主要筋肉群の定期的なレジスタンス運動トレーニング(筋トレ)を週2~3回おこなうことにより、男性の全死亡率を低下できる可能性がある」、と述べています。また、「筋トレは有酸素運動の代わりに行うのでなく、有酸素運動に追加して行うべきである」ともコメントしています。

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 健康で長生きするには、有酸素運動だけではなく筋トレなどの無酸素運動も必要というわけです。しかし、生活習慣病を含めてある程度病気が進行すればこういった運動はできなくなってしまいます。早い段階から、積極的に生活の中に運動の習慣を取り入れることが大切でしょう。

(谷口恭)