医療ニュース

2008年8月1日(金) 日本脳炎の新ワクチンは2009年以降に

 日本脳炎ウイルスの豚への新規感染が明らかになる一方で、安全性の確立したワクチンの供給が遅れているというニュースをお伝えしましたが(2008年7月24日(木)「豚が近くにいる人は日本脳炎に注意を! 」)、ワクチンは早くても来年度(2009年度)以降になる見通しです。(7月24日に厚生労働省が発表、報道は7月25日の共同通信)

 ここでは、新しいワクチンが必要になった経緯を紹介しておきます。

 もともと日本脳炎ワクチンは公費でおこなわれる定期接種の対象ワクチンでした。安全性は高いとされていましたが、ワクチン接種後に急性散在性脳脊髄炎(ADEM)と呼ばれる身体が動かなくなったり意識がなくなったりする病気になった中学生の事例が明らかとなり、2005年5月に、厚生労働省はワクチンの「差し控えの勧告」をおこないました。

 これを受けて、国内のメーカー2社が、危険性の低い新しいワクチンを開発していましたが、「接種部位が腫れる」などの副作用が出現し、追加臨床試験が必要となり現在も審査の途中です。供給開始は早くても来年度以降になる見通しです。

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 2005年に差し控えが始まりすでに3年が経過しています。これは、日本脳炎に免疫をもたない子供が増えていることを意味します。そして、豚には新しい感染が報告されているのです。

 とりあえずは、豚に近づかない(子供を近づけない)、豚のいる地域では長袖長ズボンを着るといった対策は必要でしょう。

(谷口恭)