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2009年10月27日(火) はしかワクチン接種、目標に届かず

 はしか(麻疹)ワクチンの接種は、昨年度(2008年度)から13歳と18歳も対象となっています。厚生労働省は、95%の接種率を目標としましたが、残念ながらどちらの年齢でも目標に達していません。(報道は10月26日の毎日新聞など)

 厚労省のまとめによりますと、2009年3月末時点での18歳のワクチン接種率は、全国平均で77.3%、目標を達成した都道府県は1つもありませんでした。

 13歳では、全国平均は85.1%で、95%の目標を達成したのは、福井、富山、茨城のわずか3県にとどまっています。

 WHO(世界保健機関)は2012年までに、人口100万人当たりの患者数が1人未満で、予防接種率が95%以上の状態である「排除」を各国に求め、すでに97ヶ国で達成されています。

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 はしかは、途上国では多くの子供の命を奪う感染症ですが、ワクチンが普及した結果、世界の死亡率は2000年の約75万人から、2007年には19万7000人と大きく減少しています。

 一方、日本の状態は芳しくなく、先進国ではしかを「排除」していないのは日本だけであると言われています。そのため日本は「はしかの輸出国」と揶揄されることもあります。(お隣の韓国では2007年の5月に「排除」に成功しています)

 はしかはときに「死に至る病」となります。日本では、現在でも年間数十人がはしかで死亡していますし、成人してからもSSPE(亜急性硬化性全脳炎)という難治性の病に苦しめられることもあります。

 ワクチンをうたない人の何割かは、副作用を懸念されていると思いますが、ワクチンをうたなかったときのリスクもよく考えるべきでしょう。

(谷口恭)

参考:はやりの病気第46回(2007年6月)「はしかの予防接種率はなぜ低いのか」