医療ニュース

2009年10月29日(木) 高血糖は胃ガンのリスク

 血糖値の高い人は胃ガンになるリスクが高い・・・

 これは九州大学の研究班が14年間にわたりおこなった研究の結果です。(報道は10月27日の読売新聞)

 この調査は、福岡県久山町で毎年健診を実施している40歳以上の男女約2,600人を対象に1988年から14年間にわたって実施されています。調査期間中に97人が胃ガンを発症しています。

 調査では、対象者全員のHbA1C(ヘモグロビンA1C)を検査しています。HbA1Cが高い人は血糖値も高いことが分っています。HbA1Cが正常値(5.0~5.9%)の人に比べ、6.0~6.9%の人の胃ガン発症率は2.13倍、7%以上の人では2.69倍という結果がでています。

 さらにこの調査では、血糖値とピロリ菌感染の有無によって4つのグループに分けて胃ガン発症率を分析しています。

 「HbA1Cが正常範囲でピロリ菌非感染」の人は578人で、このうち胃ガンを発症したのは11人で最もリスクが低い結果となっています。「高血糖で非感染」は1.35倍、「正常値で感染」は1.86倍、そして「高血糖で感染」は4.03倍と高い数字がでています。

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 高血糖が最も問題になるのは、心筋梗塞などの心疾患や脳卒中に対してですが、この研究は胃ガンのリスクにもなることを示しています。

 ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)は、胃の粘膜に付着する細菌で、日本人では40歳以上の男性で約7割、女性で約6割が感染していると言われています。

 ピロリ菌の除去については保険診療上の制約もあり、「感染しているから直ちに除菌」というわけにはいきませんが、胃痛などの症状がある場合は胃潰瘍などに進行している可能性もありますから、症状のある方は医療機関を受診すべきでしょう。

(谷口恭)