医療ニュース

2009年11月30日(月) HIVの検査を受ける人が激減

 11月24日に厚生労働省が発表した報告によりますと、全国の保健所などで、無料で受けることのできるHIV抗体検査の検査件数が、2009年の7~9月は33,312件にとどまり、これは過去最多となった2008年10~12月の49,776人に比べて、およそ3分の2に落ち込んでいることが分かりました。

 これまでHIV抗体検査の検査件数は年々増加傾向にありました。3ヶ月ごとの集計をみると、2007年10月~12月から6期連続で4万件以上が続いていました。しかし、2009年の4~6月に37,515件に急落し、7~9月はさらに4千件以上の減少となり、その結果過去3年間で最少となりました。

 また、検査件数の減少だけでなく、新規で発見されたHIV感染者とエイズ発症者の合計も7~9月は345人にとどまっており、これは4~6月と比べても37人の減少ということになります。

 検査を受ける人が減っている理由としては、新型インフルエンザに世間の関心がうつっていることや、ACジャパン(旧公共広告機構)によるPRが2009年6月末で終了した影響などが考えられます。

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 検査が減った理由が、「リスクのある人のほとんどが検査をすでに受けたから」であればいいのですが、単に関心が薄くなった結果であれば憂うべきことです。なぜなら、HIV感染は早期発見が何よりも大切で、現在では早期発見がなされ適切なタイミングで適切な薬を開始すれば死に至る病ではないからです。

 数年後に「いきなりエイズが増加」という事態にならないように、関心が低くなることを警告したいと思います。

(谷口恭)