医療ニュース

2009年12月2日(水) 湯たんぽによる低温やけどが多発

 湯たんぽがここ数年ブームのようです。湯たんぽは電気や灯油が不要ですから経済的であることが一因だと思われます。

 その湯たんぽによる低温やけどが増加しているようです。経済産業省所管の事故調査機関「製品評価技術基盤機構(NITE)」は11月26日、「寝る前には必ず布団から出すようにしてほしい」と注意を呼びかけました。(報道は11月30日の読売新聞)

 同機構によりますと、カイロや電気毛布などの暖房器具が原因の低温やけどは1996年以降、メーカーや経産省などから合計77件の報告が寄せられており、そのうち30件は昨年1年間に報告されています。その中で、湯たんぽによる低温やけどは2006年以降、16件の報告があります。さらにそのうち11件は皮膚の移植や6か月以上も通院する重傷事故だったそうです。

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 太融寺町谷口医院にも、湯たんぽが原因でやけどを負った患者さんがときどき来院されます。症例にもよりますが、やけどの場合、受傷時にはそれほど痛みが強くなく皮膚症状も軽症にみえても、時間がたつにつれて痛みが増し、傷が深くなっていくことがあり、こうなれば治療に難渋します。

 低温やけどがやっかいなのは、「熱い」と感じない45度程度の温度でも、3時間ほど皮膚に接触させるだけでも起こりうるということです。

 報道では湯たんぽによるやけどは16件となっていますが、やけどを負っても報告しない人の方がずっと多いでしょうから(医療機関で診断がついても医療機関から報告することは普通ありません)、実際はこの何十倍の被害があるでしょう。

 同機構の警告にあるように、「寝る前には必ず布団から出す!」というルールを忘れないようにしましょう。

(谷口恭)