医療ニュース

2009年12月8日(火) うつ病を患う人が100万人突破

 うつ病が増えているようです。

 厚生労働省が3年ごとに実施している患者調査によりますと、躁うつ病を含むうつ病(正式な病名は「気分障害」)患者の総数が2008年に1,041,000人となり、初めて100万人を超えたことがわかりました。(同省の発表は12月3日、報道は12月4日の読売新聞など)

 患者調査をみてみると、「気分障害」の患者数は、1996年433,000人、1999年441,000人とあまり変化がありません。ところが2002年には711,000人と急増し、ついに2008年には100万人を突破し、10年前に比べておよそ2.4倍にもなっています。

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 自殺者数が3万人を超えるようになったのは1998年からです。自殺者の増加は1998年から、うつの増加が2002年からとすると、うつ→自殺という関係は成り立たないことになります。

 私の個人的な感想を言えば、2002年からうつが実質的に増えたのではなく、医療機関を受診しうつ病(気分障害)という病名をつけられる人が増えたということではないかと思われます。

 「軽症うつ」とか「プチうつ」という言葉もありますが、以前に比べると「うつ」で医療機関を受診することにそれほど抵抗がなくなってきているのかもしれません。太融寺町谷口医院にも「最近うつっぽくて・・・」と言って受診される患者さんがおられます。話を聞いてみると、薬が必要でないと思われるケースも少なくなく、数回の通院のみで薬の処方なしで元気になられる方もいます。

 ということは、うつが10年間で2.4倍という数字は深刻に受け止めなければならない一方で、医療機関を気軽に受診する患者さんが増えたことは悪くないことと考えるべきかもしれません。

(谷口恭)