医療ニュース

2009年2月2日(月) 日本脳炎の新ワクチン承認の見通し

 2005年に厚生労働省が勧告をおこなって依頼、事実上ストップしていた日本脳炎ウイルスの予防接種(ワクチン)が再開される可能性が強くなってきました。

 日本脳炎ウイルスの従来のワクチンは、副作用が少なく有効性が高いものとされていましたが、2004年に山梨県の女子に副作用が出現し、それを受けて厚生労働省は2005年にこのワクチンを控えるように勧告していました。新しいワクチン開発が急がれていましたが、開発の途中で副作用が出るなどの理由から時間がかかっていました。

 1月29日に開かれた薬事・食品衛生審議会部会が新しいワクチンの製造販売を了承し、これを受けた厚生労働省は集団接種の安全性を検討し、今夏の流行シーズンまでに定期接種を再開するかどうかを決めることになります。(報道は1月30日の毎日新聞)

 この度製造販売の了承を受けた新型ワクチンは、臨床試験で重い副作用はなかったものの、数百万人規模で接種した場合の安全性は不明なため、副作用の情報収集と対応の徹底が承認条件とされています。

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 以前何度かお伝えしましたが、日本脳炎はいったん発症すると3分の1が死亡、3分の1が命は助かるものの後遺症を残します。元通りの生活が営めるのは3人に1人しかいないのです。もしも流行すれば大変なことになります。

 新しいワクチンの安全性が確かなものであり、1日も早く接種できるようになることを切に願います。

(谷口恭)

はやりの病気 第63回 「日本脳炎を忘れないで!」