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2009年2月8日(日) 大学入学前にはしか(麻疹)のワクチンを

 若年者のはしか(麻疹)流行がここ数年問題となっていますが、全国の主な大学の8割が、来年度の入学予定者に対し、入学前の感染予防対策を求めていることが日本小児科学会などの調査でわかりました。(報道は2月2日の読売新聞)

 この調査は昨年(2008年)、日本小児科学会、京都小児科医会、京都市学校医会が、一学年の定員が2,000人以上の総合大学と医学部のある全国の大学計112校に行い、93校から回答を得ています(回答率83%)。「入学前にはしか対策を行う」と答えた大学は72校(77%)で、そのうち、「予防接種を受けるよう指導する」大学は51校(55%)、「感染や予防接種歴の調査を行う」大学は41校(44%)となっています。

 接種指導などを「入学後に行う」とした20校(22%)を合わせると、ほとんどの大学が対策を予定していることになります。はしかの免疫があることを教育実習や病院・介護実習などの参加条件にする大学は48校(52%)との結果がでています。

 2007年、2008年と2年連続で、はしか流行のため休講措置を取った神戸大学では、来年度(2009年度)の入学者全員に対し、予防接種済み証明書か、抗体検査で免疫があることを証明する書類などの提出を義務づけることを決めています。

 はしかの予防接種は、以前は1回接種でしたが、予防効果が不十分なことから、2006年度から1歳と小学校入学前の2回接種に変更されています。1回接種しかしていない世代の若者に対し、国は2008年度から5年間に限って、高校3年生と中学1年生での追加接種を実施しています。厚生労働省によりますと、2008年9月末時点で、高3のはしかワクチンの接種率は48%と低迷しています。特に、東京、大阪、神奈川、埼玉、京都など都市部で低い傾向にあります。

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 以前もお伝えしましたが、当院でもはしかの抗体陽性率を調査したことがあります。結果は、全体で抗体陽性率は40.7%。年代別でみると、10代は約2割、20代は約4割、30代でも5割の人にしか抗体はできていませんでした。

 大人になってからはしかを発症するケースも増えています。大学に入学される方はもちろん、そうでない方もはしかの抗体検査は受けておいた方がいいでしょう。

(谷口恭)