医療ニュース

2009年5月11日(月) 後発品への変更はわずか4%

 後発品(ジェネリック薬品)の普及が叫ばれて久しいように感じますが、実際の普及はそれほど多くはないようです。

 厚生労働省の調査によりますと、医師の処方せんで、先発薬から後発薬への変更を認めないものが34%あり、変更を認めた処方せんでも実際に後発薬が使用されたのは6%にすぎないようです。処方せん全体では後発品の使用は4%にとどまります。(報道は5月8日の共同通信)

 この調査は、2008年11月から2009年2月にかけて、全国の薬局、診療所各2,000カ所、病院1,000カ所を対象に実施されています。(回収率は薬局が47%、診療所37%、病院33%)

 医師が「後発薬使用可能」とした処方せんを持参した患者の9割以上に「後発薬への変更が可能」であることを説明している薬局はわずか10%しかないことも今回の調査で明らかとなりました。58%の薬局は、患者の3割未満にしかこの旨を説明していないそうです。

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 話を整理しましょう。

 まず、医師の発行する処方せんには、医師が「後発品ではダメで必ず先発品を使うべき」と考えた場合に、処方せんにその旨を記載します。このように発行された処方せんが34%あるというわけです。(ただしこの34%には後発品が存在しないケースも含まれています)

 患者さんは、処方せんをもって薬局に行く(もしくは医療機関内で処方される)わけですが、このときに処方せんに「後発品はダメ」の記載がなければ、後発品の処方が認められます。しかし、この旨の説明があまりされていないために、値段の安い後発品を処方してもらえるのに高い先発品を購入しなければならないケースが実際には多いというわけです。

 医師や薬剤師が後発品を積極的にすすめない最多の理由は「後発品に不安がある」というものです。またそれほど多いわけではありませんが、患者さんのなかにも後発品に不安を感じている人もいます。

 厚生労働省には、この"不安"を取り除く対策をとってもらえればと思います。太融寺町谷口医院では、原則として後発品を処方していますが、後発品に不安があるという人には「院外処方」で先発品の処方をすることもあります。

(谷口恭)

参考:医療ニュース 2009年1月23日「後発品処方希望カードに6億円以上も!」