医療ニュース

2009年5月19日(火) 自殺は若年層で増加

 警察庁が「2008年の自殺者総数は32,249人と発表した」というニュースを先月お伝えしましたが(2009年4月4日「2008年の自殺者またもや3万人超え」)、同庁は5月14日に、年齢や動機などの詳細を公表しました。

 全体的な特徴として、20~30歳代を中心とした「若年層」の自殺が目立っています。特に30歳代は統計を取り始めた1978年から最高の4,850人となっています。30歳代の自殺は、1998年は3,614人ですから、10年間で3割以上も増えていることになります。

 詳しくみてみると、50歳代が6,363人(前年比9.7%減)と全体の19.7%を占め、60歳代5,735人(0.4%増)、40歳代4,970人(2.5%減)、30歳代4,850人(1.7%増)、70歳代3,697人(5.4%減)と続きます。30歳代以下は全体の27.6%に上っています。

 動機をみてみると、「生活苦」「失業」「就職失敗」が前年より13~40%も増加していて、昨年秋以降の急激な景気悪化を反映しているようです。

 動機について詳しくみてみましょう。まず、遺書などから動機を特定できたのが23,490人で、動機を52項目に分類した結果、健康問題が15,153人と前年に引き続いて最も多く、このうち「うつ病」は6,490人(7.1%増)で52項目中トップでした。

 経済・生活問題を動機とした自殺者は7,404人で、多重債務など「負債」を動機とする自殺は前年より10.9%減少したものの、「就職失敗」が253人と40.6%も増加し、「失業」も20.4%増の648人、「生活苦」は13.4%増の1,289人に上っています。

 20歳未満では、小中高生の自殺者は308人で、前年より34人増えています。「いじめ」が動機と断定されたのは11人です。

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 「自殺」を予防するのは大変むつかしいことではありますが、早急に対策を立てなければなりません。自殺を考えてしまうことがあれば、まずは誰かに相談することが大切です。もしも身近に相談できる相手がいなかったとしても、相談に乗ってくれる機関はいくつもあります。下記に具体的な相談窓口を記しておきます。

ライフリンクデータベース  
「いのちの電話」 
・東京自殺防止センター 
全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会 

(谷口恭)