医療ニュース

2009年7月12日(日) サルの研究では「粗食」が長生き

 カロリー摂取量を大幅に減らすと、がんや心疾患、糖尿病など加齢に伴う病気の発症を抑えられる・・・

 これは人間ではなく、アカゲザルを20年間追跡調査することによって得られた結果で、米国ウィスコンシン大学などの研究チームが7月10日の科学誌「サイエンス」で発表したそうです。(報道は7月10日の読売新聞)

 この研究チームは、7歳から14歳の大人のアカゲザル(飼育下での平均寿命は27歳)を30匹使って1989年に研究を開始しています。さらに1994年に46匹を追加しています。このアカゲザルを2つのグループに分け、片方のグループはカロリー摂取量を30%減らして飼育しました。血圧・心電図・ホルモン量などを測定し、死亡した場合は解剖をおこない死因を詳しく調べたそうです。

 その結果、カロリー制限をしないグループでは、5匹が糖尿病を発症し、11匹が糖尿病予備軍と診断されましたが、カロリー制限をしたグループでは糖尿病の兆候は見られなかったそうです。さらに、カロリー制限をしたグループでは、がんと心疾患の発症も50%減少したようです。

 それだけではありません。通常、脳は加齢とともに萎縮しますが、カロリー制限をしたグループでは、運動や記憶などをつかさどる部分の萎縮が少なかったそうなのです。

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 「粗食が健康にいい」というのは、日本でも以前から指摘されることがありました。今回の研究では、ガン、心疾患、糖尿がおさえられ、長生きし、認知症にもなりにくいということが示唆されたわけです。

 しかしながら、一方では、「太り気味の方が長生きする」という研究もあります。(下記医療ニュース参照) 

 これら、一見相反するように見える研究をどのように解釈すべきか・・・。現時点ではその解釈は各人に委ねられていると考えるべきでしょうか・・・・

参考:
医療ニュース 2009年6月11日「やはり長生きするのは太り気味か...」

(谷口恭)