医療ニュース

2009年7月18日(土) アデノウイルスの新型が流行

 流行性角結膜炎やプール熱(咽頭結膜炎)などの原因ウイルスであるアデノウイルスに2種の新型が存在し、日本国内で流行していることが、北海道大学が中心の研究グループの調査によりあきらかとなり、7月16日に発表されました。(報道は同日の読売新聞)

 研究グループは、流行性角結膜炎を発症した患者からウイルスを分離・増殖させ、遺伝子の塩基配列を調べた結果、これまでにわかっていた4種類の型とは異なる型が2種類存在することをつきとめました。そして、4月にブダペストで開催された国際学会でこれら2種が新型であることが認定されたようです。

 さらに研究グループは、2000年から2008年に国内で流行したケースのウイルスを調査し、半数以上がこの新型2種のいずれかであることが判りました。

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 流行性角結膜炎は、毎年6~8月頃に流行し、国内では年間60~100万人が罹患すると言われています。

 アデノウイルスが原因の感染症には、流行性角結膜炎以外にも、咽頭結膜炎(いわゆる「プール熱」)、急性咽頭炎、乳幼児下痢症、急性出血性膀胱炎、(肝移植の後の)肝炎などがあります。

 アデノウイルスはこれまで51種類の型が確認されていましたから、今回の2種が加わり、合計53種が存在することになります。

 しかし、アデノウイルスという病原体に対しては、現時点では、ワクチンもなければ特効薬もありません。症状が出現すればそれを緩和させる治療(対症療法)しかないのが現実です。今回の新種発見がなんらかの治療につながることを期待したいと思います。

(谷口恭)