医療ニュース

2009年7月8日(水) 15%もの親が幼児にサプリメント

 幼稚園や保育所に通わせている保護者の15%が健康食品のサプリメントを子どもに与えている・・・。

 これは、国立健康・栄養研究所が実施した調査で分かったことです。(報道は7月6日の日経新聞他)

 この調査は2007年5月から9月に、青森、山形、茨城、栃木、埼玉、千葉、香川の7県の幼稚園や保育所計21カ所で実施されています。子どもの年齢は6歳までで、保護者2,125人のうち1,533人から回答を得ています。

 その結果、口の中で溶ける錠剤や粉末、カプセルなどのサプリメントを、全体の15%に当たる228人が子どものため利用したことがあると答えています。

 利用者のうち68%の154人が「ビタミンやミネラルのみ与えている」と回答していますが、32%の74人は「そのほかも利用」と答え、33人は脳の発達に良いなどと宣伝されるドコサヘキサエン酸(DHA)を含有する魚油系のサプリを利用していることが分かりました。また、プロテイン、キシリトール、ハーブなどの利用もあったようです。

 この調査を実施した国立健康・栄養研究所は次のようにコメントしています。

 「幼児への有効性や安全性などを検証したデータは乏しい。身体に必要な成分でも安易に与え続けると過剰摂取につながり、幼児に有害な作用が出る恐れがある」

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 マスコミの報道をみてみると、「身体に害を与えるかもしれないものを安易に子供に与えすぎではないか」という観点から論じられているように思われますが、保護者の6割は「栄養補給」が利用目的と回答しています。つまり、日々子供に与えている通常の食事だけでは不十分と親が考えていることが分かります。

 この理由として、(長時間働かなければならないから)料理をする時間がない、安心できる食材が手に入らない、などが考えられます。ということは、単に「サプリメントの過剰摂取に注意してください」と言うだけでは何も解決しないことになります。

 一方、サプリメントを供給する側にも大きな問題があります。サプリメントは医薬品ではありませんからコンビニやインターネットで簡単に買えます。利益重視の企業のなかには、「体脂肪が減る」「がんに効く」「身長が伸びる」などと宣伝することもあるようです。

 国民生活センターには、サプリメントの表示や販売手法をめぐって、昨年だけで約1,300件の相談や苦情が寄せられており誇大広告は増加しています。公正取引委員会も今年の2月、「体臭を消す」と謳っていたサプリメントの販売会社7社に「効果に根拠がない」という理由で排除命令を出しています。

 
(谷口恭)