医療ニュース

2009年8月17日(月) 低タールのタバコにしても効果なし

 軽いタバコに変えたんだけどかえって本数が増えちゃって・・・

 これは喫煙者からよく聞くセリフですし、私自身も喫煙していた頃に経験したことがあります。

 この経験則を裏付けるような研究結果が厚生労働省の研究班により発表されました。その研究によりますと、低タール、低ニコチンのたばこを吸っている人ほど吸煙量が多く、タールやニコチンが多いタバコを吸っている人と同程度の有害な化学物質にさらされている、そうなのです。

 この研究の対象者は20~65歳の喫煙者約100人で、1日あたりの平均タバコ本数は19本です。いつも吸っているタバコの種類にあわせて、①タール1mg、②3-6mg、③8-10mg、④14mgの4つのグループに分類し、ニコチン摂取量、呼気に含まれる一酸化炭素量などを調べています。

 その結果、タール6mg以下のグループは、1回で吸い込む平均吸煙量が58.4mLで、それより高いタールのたばこを吸っている人(50mL)よりも多い傾向がありました。1日当たりの平均吸煙量では、高タールグループより、約4,500mLも多くなっています。

 ニコチン量については、表示されたニコチン量が多いほど増える傾向にはありましたが、タール1mgのグループの唾液1mLに含まれるニコチン量は、タール14mgのグループの約3分の1に過ぎなかったようです。

 また、たばこの煙に含まれ、動脈硬化などの要因とされる一酸化炭素(CO)はタールやニコチン量による差はなく、ほぼ同量を吸引していたことが分かりました。

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 太融寺町谷口医院に禁煙外来で受診されている患者さんには、毎回呼気中の一酸化炭素濃度を測定してもらっています。

 これが不思議なことに、吸っているタバコの種類に関係なく、だいたい1日に吸っているタバコの本数に一致した数字となります(単位はppm)。今回の研究結果は、私が以前から感じていた「なぜどんなタバコを吸っていても同じような数字になるのだろう」という疑問に答えてくれたことになります。

 タバコはやめてないけど軽いのにしたんです・・・。

 禁煙をすすめている患者さんにこのように言われることがしばしばありますが、あまり効果がないということが科学的に実証されたというわけです。

(谷口恭)