医療ニュース

2009年9月15日(火) 人間ドックで「異常なし」は過去最低

 2008年に人間ドックを受診して「異常なし」となった人は、全体のわずか9.6%で過去最低・・・。

 これは、日本人間ドック学会が先日発表したデータです。(報道は9月10日の読売新聞)

 「異常なし」が1割を切ったのは、1984年の調査開始以来初めてだそうです。

 同学会によりますと、調査対象となった人間ドック受診者約295万人のうち、肥満・高血圧といった生活習慣病などの検査23項目すべてで「異常なし」となったのは、全体の9.6%に相当する約28万人です。これまで最低だったのは2006年の11.4%でしたから大きく下がっていることになります。

 「異常」で最も多い項目は、「高コレステロール」で全体の26.4%、次いで「肝機能異常」、「肥満」の順となっています。男性でみると「肝機能異常」、女性では「高コレステロール」が多いようです。

 今回の結果について同学会は、①腹囲測定が組み込まれるなど検査の基準が厳しくなった、②受診者の高齢化、③経済不況でストレスが増した、などを理由に挙げています。

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 肝機能に異常があるから、高コレステロールだから、という理由だけですぐに治療が必要というわけではありませんし、「腹囲」については基準を巡って様々な議論がありますから、国民の9割以上が病気、というわけではないと考えた方がいいでしょう。

 しかし、上記③の「経済不況でストレスが増して・・・」というのは注目されるべきだと思います。日頃患者さんをみていると、人間ドックの検査では異常と出ないような症状、例えば、不眠や気分の落ち込み、検査異常のない倦怠感・疲労感、などを訴える人がますます増えてきているように感じます。

(谷口恭)