医療ニュース

2009年9月30日(水) 1日2回の歯磨きでガンのリスクが減少

 1日2回以上歯を磨く人が口の中や食道ガンになる危険性は1回の人より3割低い・・・

 愛知県がんセンター研究所がこのような調査をまとめ、10月1日から開催される日本癌学会で発表する予定のようです。(報道は9月28日の共同通信)

 この調査は20~79歳(平均61歳)の約3,800人を対象としておこなわれています。同がんセンターを受診した人の中から、口の中やのどなどのガン(頭頸部ガン)や食道ガンに罹患した人961人と、ガンでない2,883人に対して、歯磨き、喫煙、飲酒などの習慣を調査しています。

 調査の結果、2回以上歯磨きする人は、1回の人に比べ、ガンになる危険性が約29%低く、まったく磨かない人の危険性は、2回以上磨く人の2.5倍となっています。この結果は、喫煙や飲酒といった他の因子と関係なく、「歯磨きの回数」が独立したガンの危険因子であることを強く示唆しています。

 なぜ歯磨きがガンを抑制するのか・・・。この理由に対して、同研究所は「口やのどには発がん物質とされるアセトアルデヒドを作る細菌がいる。歯磨きで細菌や発がん物質が洗い流されるので、少なくとも朝と夜に磨けば、がん予防に役立つ」とコメントしています。

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 このような調査はおそらく初めてではないでしょうか。歯磨きが齲歯(虫歯)や歯周病の予防になるのは常識ですが、ガンを抑制するとなると、歯磨きの重要性はもっと注目されるべきでしょう。

 調査には「まったく磨かない人」も対象となっています。"普通の"生活をしていて歯をまったく磨かない人はいないでしょうから、これは寝たきりなどの状態になり自力で歯を磨けない人を指しているのではないかと思われます。ということは、この調査結果は介護者にも理解してもらわなければならないことになります。

(谷口恭)