医療ニュース

2009年9月9日(水) この夏の食中毒は過去10年で最少

 今夏(6~8月)の食中毒患者数が前年より激減し、過去10年間で最少であったことが厚生労働省の速報で明らかとなりました。(報道は9月8日の日経新聞など)

 今夏の食中毒患者数は826人にとどまり、これは前年(2008年)の約6分の1に相当します。1,000人を割ったのは過去10年間で初めてだそうです。発生件数も52件で、これは前年の約8分の1にあたります。

 厚生労働省は、「8月の気温が平年より低かったことに加え、食品の衛生管理が向上している」と分析しています。

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 「食品の衛生管理が向上している」という厚生労働省のコメントは、企業の不祥事が今年はなかった、ということを示唆しているようです。実際、過去10年間で、夏場で最も食中毒が多かったのは、雪印乳業の集団食中毒事件が起こった2000年です。そして、この事件以降、メーカーやスーパーなどでは食品の品質管理が徹底されるようになってきています。

 私がこのニュースをみたとき、「たしかに言われてみれば今夏はインフルエンザを含めて上気道炎の感染症が多く、胃腸炎は少ないかな・・・」とも感じましたが、それでも、おなかをこわして受診という患者さんが少ないわけではありません。

 食中毒という診断がつかなくても、感染性胃腸炎は少なくないというわけです。もっと言えば、感染症でない下痢や嘔吐の患者さんも少なくありません。

(谷口恭)