医療ニュース

2010年11月15日(月) 白いご飯で糖尿病のリスク上昇

 以前、白米を玄米に替えれば糖尿病のリスクが下がるというアメリカの研究について報告したことがありましたが(下記医療ニュース参照)、国立がん研究センターも似たような研究結果を医学誌『The American Journal of Clinical Nutrition』10月27日号(注参照)に発表しました。

 1日に白いご飯を3杯以上食べる日本人女性は糖尿病の発症率が高い・・・

 これが今回の研究の結果です。同センターは、岩手、長野、茨城、沖縄など8県在住の45~74歳の男女約6万人(男性25,666人、女性33,622人)を対象とし、1990年代の初めから5年間にわたり追跡調査をおこなっています。対象者のなかで1,103人(男性625人、女性478人)が糖尿病を発症しています。

 白いご飯の摂取量との関係を調べたところ、女性の場合、1日に茶碗3杯を食べるグループは茶碗1杯のグループに比べると糖尿病の発症リスクが1.48倍に増加しており、これが茶碗4杯以上になると1.65倍にもなるという結果がでたそうです。 ただし、肉体労働や1日1時間以上のスポーツをおこなっていれば、摂取量と発症率に関連はなかったそうです。

 また、男性の場合は、摂取量と発症率に統計学的な有意差は認められなかったものの、やはり白いご飯をたくさん食べる人は糖尿病を発症しやすい傾向にはあったようです。

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 この研究結果は世論の関心が高いためか、各マスコミも報道しています。しかし、なぜか報道に少し違いがあり、例えば共同通信は、11月12日の記事で対象者の追跡期間を5年ではなく10年としています。また、11月12日の毎日新聞は糖尿病発症のリスクを1.65倍でなく1.81倍としています。いずれもさほど大きくない差で、研究結果そのものが変わるわけではないのですが、なぜこのような報道の差がでるのか不思議です。

 ところで、この研究をみるとご飯だけが悪者のようになっていますが、パンではどうなのでしょうか。参考までに、ご飯は茶碗1杯で約250kcal、6枚切りのトースト+マーガリンでも約250kcalです。しかし、ロールパンは1個で300kcal、クロワッサンになると1個450kcalとなります。

 この研究結果に影響を受けて、ご飯1膳の朝食をクロワッサンに替えたりしてしまえば、余計に糖尿病のリスクが上がるように思えるのですが・・・。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは「Rice intake and type 2 diabetes in Japanese men and women」で、下記のURLで概要を読むことができます。

http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/ajcn;ajcn.2010.29512v1?maxtoshow=&hits=10&
RESULTFORMAT=&fulltext=white+rice&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT


参考:医療ニュース2010年6月20日「白米→玄米で糖尿病のリスクが低下」