医療ニュース

2010年1月25日(月) テレビの見すぎが寿命を縮める?

 1日にテレビを見る時間が1時間増えるごとに、心血管疾患による死亡のリスクが18%増大する・・・

 このような研究結果が発表され話題を呼んでいます。この研究はオーストラリア、ビクトリア州の研究所によっておこなわれ、論文は医学誌『Circulation』のオンライン版2010年1月11日号に掲載されています。(注参照)

 研究者らは、25歳以上の健康な男女8,800人のライフスタイルを分析しています。生活習慣、コレステロールの値、血糖値などを調べ、6年間以上追跡調査をおこなっています。その結果、この間に284人が死亡し、このうち87人は心血管疾患が、125人はガンが死因となっています。

 対象者をテレビの視聴時間ごとに、①1日2時間未満、②1日2~4時間、③1日4時間以上の3つのグループに分けて分析した結果、1日の視聴時間が1時間増えるごとに死亡リスクが11%増大するとの結果が出されています。さらに、細かくみると、心血管疾患による死亡リスクは18%、ガンによる死亡リスクは9%増大するとされています。

 視聴時間が2時間未満のグループに比べて4時間以上のグループでは、全原因による死亡リスクが46%も増大し、心血管疾患による死亡リスクではなんと80%も増大するという結果になっています。

 この研究では、テレビを見る時間と死亡との関連性は、喫煙、高血圧、高脂血症、不健康な食事、肥満、運動不足などの心血管疾患の危険因子などに関係なく認められたとしています。

 なぜテレビを見る時間が長いと心血管疾患で死亡しやすいか。この点について、研究者は、「テレビの内容ではなく座っている時間が問題」としています。研究者は次のようにコメントしています。

 「頻繁に筋肉を動かすことが体重管理と疾患予防に最も有効な方法の1つであることが今回の研究で示唆された。体重が正常であったとしても、座る時間が長すぎると、血糖値やコレステロール値が増加しうる。運動量とは無関係に長時間座ってテレビを見れば、全原因による早期死亡リスクが高まり、心血管疾患によるリスクはさらに高いと言える」

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 テレビを見る時間が長いと・・・、と言われるとテレビの有害性を考えてしまいますが、今回の研究では、要するに座りっぱなしで動かないことが「早死に」の原因としているわけです。つまり、テレビが好きな人でも、適度に身体を動かして日常生活に適切な運動を取り入れれば健康を維持できる可能性が強いとも言えるわけです。

(谷口恭)

注:この論文は下記のURLで読むことができます。

http://circ.ahajournals.org/cgi/reprint/CIRCULATIONAHA.109.894824v1


「Television Viewing Time and Mortality. The Australian Diabetes, Obesity and Lifestyle Study (AusDiab)」
D. W. Dunstan, E. L.M. Barr, G. N. Healy, J. Salmon, J. E. Shaw, B. Balkau, D. J. Magliano, A. J. Cameron, P. Z. Zimmet, and N. Owen