医療ニュース

2010年2月11日(木) ネイルサロンに対する初めての調査

 グリーンネイルという爪の病気をご存知でしょうか。文字通り、爪が緑色になる病気でここ数年増加しているような印象があります。グリーンネイルは爪の下で緑膿菌が繁殖することにより生じるのですが、この病気にはある種のカビが関与しているため、治療は抗生物質ではなく抗真菌薬を用います。

 グリーンネイル発生のメカニズムはいいとして、これが起こる原因として見逃せないのがネイルサロンでのトラブルです。つまり、ネイルサロンのケアが不衛生であったことが原因でグリーンネイルが生じることがあるのです。また、グリーンネイル以外にも爪の周囲に細菌感染がおこる(細菌性)爪囲炎をおこして医療機関を受診される人もいます。

 国民生活センターには、ネイルサロンをめぐる相談件数が増えているそうです。そんななか、厚生労働省が全国約140店舗の実態調査をおこないその結果を2月2日に公表しました。(報道は2月3日の共同通信など)

 調査は2009年5月~6月にかけて実施され、札幌市や新潟市など全国10市と都内の7区にある合計143店舗が回答しています。営業場所は商業ビルやデパートの中などが大半を占めたそうです。

 「開設者が施設や施術に関する衛生管理要領を作り、従業者に周知徹底しているか」を聞いた結果、74店舗(51.7%)が「はい」と答え、「いいえ」が69店舗(48.3%)に上っています。また、22.4%に当たる32店舗が「衛生管理の責任者を定めていない」と答えています。

 一方で、皮膚疾患の有無など従業員の健康管理や器具の点検、施術前後の消毒などについては、いずれも90%以上が「している」と答えています。

 厚労省によりますと、「ネイルケアをめぐってはNPO法人などが独自の技能検定を実施しているが、開業や施術についての法的規制はない」そうです。健康被害の相談も目立っており、同省は2009年度中に「衛生基準ガイドライン」を策定する方針を決めています。

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 調査結果によれば、約半数のネイルサロンが具体的な衛生管理要綱を作成していないことになります。また、当局のガイドラインが現在存在しないわけですから、作成していたとしても要綱は独自のものとならざるを得ません。

 「衛生基準ガイドライン」の早期の策定と実施の徹底を望みたいと思います。

(谷口恭)