医療ニュース

2010年3月1日(月) 炭酸飲料水の飲みすぎは膵臓ガンのリスク

 週に2回以上炭酸飲料水を飲む人は、まったく飲まない人に比べて膵臓ガンの発症リスクが87%も高い・・・

 これは、医学誌『Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention』2月号に掲載された米国ミネソタ大学とシンガポール国立大学の共同研究の結果です。(注参照)

 研究では、中年以上の中華系シンガポール人60,524人を対象とし、炭酸飲料水の平均摂取量を算出し、対象者を14年間追跡し膵臓ガンの発症の有無を調べています。その結果、週に2回以上飲む人は、まったく飲まない人に比べて発症リスクが87%も高くなっていることが分かりました。

 炭酸飲料水を飲むとなぜ膵臓ガンが発生しやすくなるのか・・・。この理由について、研究者は、炭酸飲料による血糖値の上昇とそれによるインスリンの増大が、膵臓細胞の異常な分裂を促進するのではないかと推測しています。(膵臓はインスリンを分泌する臓器です)

 また、一般に炭酸飲料水には大量の砂糖が使用されており、これが肥満や糖尿病のリスクになり、これらが膵臓ガンと関係があるのではないかとの見方もあります。

 尚、この研究では炭酸飲料水以外にも、果汁摂取についても調べられていますが、果汁摂取とガンとの相関関係は認められなかったそうです。

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 最近はノンカロリーを謳った炭酸飲料水をよくみますが、東南アジアで流通するようになったのはごく最近ですから、今回の研究の対象者が日頃飲んでいたのは、従来型の大量の砂糖が入れられている炭酸飲料水だと思われます。

 しかしながら、ノンカロリーやダイエット関連の炭酸飲料水であればガンの発症リスクを上げないというデータがあるわけではなく、一概に砂糖の多さだけを悪者にするのは短絡的なように思われます。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは、「Soft Drink and Juice Consumption and
Risk of Pancreatic Cancer: The Singapore Chinese Health Study」で、要約は下記のURLで読むことができます。

http://cebp.aacrjournals.org/content/19/2/447.abstract