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2010年4月30日(金) 「人口減少社会」が本格的に

 4月16日、総務省は、2009年10月1日現在の日本の推計人口を発表しました。推計人口は国が5年ごとに実施する国勢調査を基に、出生や死亡、出入国などその後の増減を加味して算出されます。

 定住外国人を含む総人口は1億2,751万人で、前年に比べて18万3,000人(0.14%)減ったことになります。減少は2年連続で、減少幅は過去最大となります。女性については、初めて死亡者数が出生者数を上回る自然減少になっています。男性は5年連続での自然減となり、総務省は「本格的な人口減少時代に入った」と分析しています。

 国外への流出が国内への流入を上回る人口の「社会減」は12万4,000人となっています。外国人は出国者が入国者を47,000人上回り、1994年以来、15年ぶりの社会減となるそうです。ブラジル人など自動車関連企業などで勤務していた多くの外国人が帰国したことが最たる要因と分析されています。

 全国47都道府県のうち、人口が増加したのは沖縄、神奈川、千葉、埼玉、東京、滋賀、愛知の7都県です。沖縄県は、前年比で大幅に人口が増加した唯一の県ですが、これは沖縄移住ブームが続いているからと考えられます。それ以外は都市部への人口流入であり、過疎化と過密化の進行が依然として進行していることを示しています。

 推計人口では、65歳以上の老年人口が総人口に占める割合が22.7%に達し、過去最高を更新しました。老年人口の伸びを前年比でみると、埼玉県(4.9%)が最も高く、千葉県(4.7%)、神奈川県(4.3%)と続きます。一方、秋田県や鳥取県などの地方は低い伸びにとどまっています。埼玉、千葉、神奈川では、75歳以上の人口の伸びも5%を超えており、全国平均の3.7%を大幅に上回っています。

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 都市部ではもともと、総人口に占める高齢者の割合が地方より低いのが特徴でした。都会は若者の街だったのです。しかし、ここにきて1960年代前後に仕事を求めて都市部に集まった世代(当時の若者)が高齢化し、高齢者の割合が上昇しているのです。

 都市部の高齢者は一人暮らしの割合が多いのが特徴です。今後、「孤独死」の問題がさらにクローズアップされることになるでしょう。

(谷口恭)