医療ニュース

2010年5月10日(月) A型肝炎と手足口病が流行中

 A型肝炎と手足口病(てあしくちびょう)、どちらも一度は聞かれたことのある病気だと思いますが、この2つの病気の共通点が分かりますでしょうか。

 それは、これら2つの感染症が、どちらもエンテロウイルスというウイルス属に属する病原体が原因となっているということです。

 A型肝炎は、今年(2010年)の3月以降急増しており、すでに昨年(2009年)1年間の患者数を超えています。国立感染症研究所が4月29日に公表しています。

 同研究所によりますと、3月29日から4月4日までの1週間に18人の報告があり、これは2007年以降では最多となります。その後も増加傾向が続き、4月18日までの合計(速報値)は121人で、昨年(2009年)一年間の115人を超えたことになります。

 A型肝炎ウイルスは、一部には性交渉による感染もありますが、大半は不衛生な水や食べ物から感染します。子供の場合は感染しても不顕性感染といって、感染したことに気づかずそのうちに治っているというケースも多いのですが、成人してからの感染は発症することの方が多いと言えます。通常は、1~2ヶ月間の入院を要しますが、それ以上慢性化することはありません。しかし、A型肝炎はときに劇症化することがあります。今シーズンの報告では、2例が劇症化し、そのうち1例は死亡にいたっています。

 一方、手足口病は過去11年間で最多となっていることを同研究所が5月2日に発表しました。同研究所によりますと、全国約3千の小児科定点医療機関から報告された患者数は、4月18日までの1週間の平均が0.55人と3週連続で増加しています。これは昨年同時期の7倍に相当します。通常、手足口病は夏に流行しますから、今後さらに急増する可能性もあります。

 手足口病は、名前が示すとおり、乳幼児の口の粘膜や手、足に水疱ができる病気です。放置しておいても治ることが多いのですが、ときに髄膜炎やさらに脳炎を起こすこともあり、こうなると命に関わることもあります。幸にも今のところ重症患者の報告はありません。

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 エンテロウイルスには多数の種類(サブタイプ)があり、A型肝炎の原因ウイルスはエンテロウイルス72型です。手足口病の原因ウイルスはエンテロウイルス71型が最も有名ですが、コクサッキーウイルスA10型、A16型も原因となります。(話が複雑ですが、コクサッキーウイルスもエンテロウイルスの仲間です)

 「エンテロ(entero)」というのは「腸内の」という意味の接頭語です。つまり、A型肝炎の72型も手足口病の71型も、共に腸内に生息するのです。ということは、手洗いの励行や排せつ物の適切な処理が人から人への蔓延化を予防するのに重要ということになります。

 それからもうひとつ。A型肝炎は成人の場合、ときに命を奪う重篤な感染症となりますが、ワクチンを接種していれば防ぐことができます。今回の流行は国内によるものとみられていますが、最近は中国やインド、その他アジア諸国での感染が急増しています。海外渡航される方は早めにワクチン接種をしましょう。(もちろん私も接種済みです)

(谷口恭)

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