医療ニュース

2010年6月7日(月) 外で遊んでいた子供は大学進学率が高い?

 子供時代に外で活発に遊んだ人ほど、本を読む割合や大学進学率が高い・・・

 これは、国立青少年教育振興機構が5月24日に公表した調査結果です。(報道は5月26日の読売新聞)

 この調査は、2009年末、全国の20~60歳代の男女5,000人と、小中高生11,000人を対象に実施されています。「川や海で泳いだ」「友達と相撲をした」など30項目をもとに、外遊びの体験豊かなグループとそうでないグループとに分けています。

 その結果、「体験豊か」という大人のグループは、1か月に本を1冊以上読む人の割合が71%にのぼり、「体験少ない」グループ(47%)より24ポイント上回っていました。最終学歴が大学以上は、「体験豊か」が50%で、「体験少ない」グループより5ポイント多かったそうです。

 同機構は、「学校や家庭は、子供が外で遊ぶ機会をもっと増やす努力をすべきだ」と指摘しています。

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 この報道をみて、「もっともだ・・・」と感じられる一方で、「子供が外で遊ぶ機会を・・・などと言われても、昔と今では時代が違うんだからそこを考えるべきでしょう」と言いたくなります。

 昔をなつかしむ大人たちは、「昔は川で泳いで相撲をしたもんだ」などと自慢っぽくいいますが、今の時代に都会で生まれていたら「放課後に運動場で相撲をとって、週末に電車やバスに乗って川で泳ぐ」、といったことをするでしょうか。おそらく、外では遊ばずに今の子供と同じようにゲームやインターネットに夢中になるのではないでしょうか。

 肝腎なのは、昔をなつかしむことではなく今この時代には何をすべきか、です。私が医師として若い世代から高齢者まで診ていて感じるのは、社会で成功するためには(外で遊んでいたかどうかには関係なく)コミュニケーション能力が必要、ということです。

 外でも中でも、あるいはインターネットを通してでもいいから、できるだけいろんな人と交わってコミュニケーションをとり、子供の頃から多様な価値を学ぶ。私はこのことが(外で遊ぶことよりも)大切だと思っています。

(谷口恭)