医療ニュース

2010年7月12日(月) 寝る前の携帯電話はNG

 就寝前に毎日携帯電話を使う中高生は、使わない生徒と比べて睡眠障害になるリスクが約1.4倍高い・・・

 これは、日本大学医学部公衆衛生学教室の研究結果で、7月1日から名古屋で開催されている日本睡眠学会第35回学術大会で発表されたそうです。(7月2日の読売新聞が報道しています)

 この調査は、2008年10月から2009年3月にかけて、全国から無作為に抽出した合計92校の中学生40,151人と、合計80校の高校生55,529人を対象とし、アンケートに回答してもらうかたちをとっています。

 その結果、「就寝前に毎日携帯電話でメールをする」と答えたのは男子で18.9%、女子で27.8%となっています。そして、このように答えた生徒は、そうでない生徒と比べて「入眠障害」、「中途覚醒」、「早朝覚醒」などの睡眠障害を発症するリスクが約1.4倍高いということが分かりました。

 さらに、日中に過度の眠気に陥るリスクは、就寝前に毎日通話する生徒で1.17倍、就寝前に毎日メールする生徒では1.5倍も高くなっています。
 
 今回の調査では携帯電話の使用時間も調べられています。1日の携帯電話使用時間(1ヶ月平均)が2時間以上、と回答したのは、高2男子で35%、高2女子で45.8%!、となっています。

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 私自身は、携帯電話は持っていますが、現在は通話もメールもほとんどしていません。はっきり言って携帯電話は嫌いですし、携帯電話がなかった時代に戻りたいとさえ思うことがあります。この理由は、私が医師であることと無関係ではないでしょう。病院勤務の頃、いつ病院から呼び出されるかも分からないために携帯電話は常に持っていなければならず、また電波が届いているかどうかをいつも気にしていなければならなかったからです。まるで自分は携帯電話の奴隷のようだ・・・、と感じていました。今は、病院から呼び出されることはありませんから常にもっている必要はなく、基本的に私は携帯電話を携帯していません。

 ですから、私のような人間からすると、これほどまでに中高生が携帯電話を使っているということが信じられないのです。しかも高2男子の3人に1人以上、女子にいたってはほぼ2人に1人が2時間以上も使用しているなどというのは、別の世界の人たちのようにすら感じます。

 しかし、このような話をすると、中高生でなくても30~40代の大半の人たちからも、「信じられない・・・」という目で見られます。こと携帯電話に関しては、私は相当奇特な人間なのかもしれません。

 ところで、年齢を問わず睡眠障害を訴えてクリニックを受診する患者さんは数多くいるのですが、中高生だけでなく、大人たちも携帯電話のせいで睡眠障害が起こっているのではないでしょうか・・・。

(谷口恭)